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◆1997年1月3日付・編集手帳

 どんな初夢をご覧になっただろうか。とりわけ縁起がいい初夢は、江戸時代から一富士二鷹三茄子(なすび)という。将軍家に縁の深い駿河国の名産を指すとの解釈が一般的だろう◆少しひねって、駿河で高いものを指すとの説もある。富士山の外は、その南東に位置する愛鷹(あしたか)山(足高山)、そして初茄子の高値のしゃれだというのだが、どれもこれも、富士の気高さにはかなわない◆二つとない存在、つまり不二とも書く。富嶽三十六景の北斎はじめ、古来この霊峰に挑んだ画家は数知れないが、洋画家神野(かみの)なみ子さん(東京)は、ひたすら富士山を描いて約二十年になる◆山ろくの野の花を求める旅がきっかけだった。「雄大な富士の、深く広い懐に抱かれ、太古の響きを聞いた思いがした」◆それは富士を前にしたときの、日本人の多くの思いに通じるだろう。四季折々、時々刻々、変容する富士。その様々な姿を描て、すでに千点を超す神野さんの個展「富士・響(ひびき)」が九日から六日間、東京・銀座の読売サロン(プランタン本館五階)で開かれる◆薄もやのかなた、初富士は四合目まで雪を冠している。富士山測候所の観測によると、きのう午前九時、強風吹きすさぶ山頂の気温は氷点下七・三度。厳かな山容に、その厳しさを思う。



N-Kamino's Mt.FUJI Gallery

▼第24回神野なみ子個展 ー富士・象(しょう)ー

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