美術鑑賞社 04(zero-four)ギャラリー
2004年11/12月10日


 

 '04書王社選抜展

 '04の書道研究書王社の役員は、会長鈴木景堂。理事長鈴木暎華。総務石井香村。総務兼事務局長石島廻山。常任理事(運営委員)大場大幹、滝沢紅華、星野尚華、片倉道子、黒田桂泉、浜島桂舟、浜島桂華、熊川朱苑、志村恵風、西沢厚子、川端敏江、仲西明江、大河原由佳。理事山口光碧ら24名。幹事山川順子ら24名。

 今回の選抜出品点数は83点。鈴木景堂会長は、水色の料紙の半切軸に、独特のしなやかな一行で夏の夜の風情を託す「夜涼風動竹」(=作品写真右側右)と、黄色の料紙の横額で「鳥呼山月花間影」、扇面に漉いた草木染めの料紙に調和体の自詠歌「毛越寺木道傍ひの老松のかたむき生ふる位置のたしかさ」、独自に開拓したいわゆる景堂流のかなで自詠歌「虹いろの羽ひろげつつ玉虫の飛びたゝむとしかがやけにけり」と4点を出品。

 鈴木暎華理事長は半切を縦に二分した細長い紙に行草で「晩晴楓葉外秋冷荻華邊」(=作品写真右側左)の才長けた線質の五言と、手中の陶板が「心粛容敬」「世泰時豊」で2点。石井香邨は西行の歌を2段構えのかなで情緒を醸す。石島廻山(=作品写真左側左「暮雲千里乱呉峯…」)と大場大幹(=作品写真左側右「世事雲千變…」)は、行草2作に各々の持ち味を明確に打ち出し趣向を凝らす。また片倉道子志村恵風の調和体も、素材を良く消化して印象的。他、景堂賞=西澤厚子。暎華賞=大河原由佳。等。

(7・8〜13、銀座松坂屋カトレヤサロン)

  


 

 上松一條書展

 財団法人独立書人団の重鎮で、日本書道専門学校の校長を務める上松一條氏は、対外的はこの名前だが、独立書人団内では『一条』を名乗る。

 9年ぶり4回目となる今回の個展は、経団連クラブ書道同好会の主催なので、こちらを用いたのであろう。出品は旧作2点に新作が10点。これに小品1点が加えられた。

 旧作と言えども昨年の抱土社と、今年の毎日新春展に出品した作品であり、今回の個展用に書き下ろした作品を新作とした。含蓄のある禅語を主体に歳時記、良寛詩、性霊集に自作の言葉や句、歌などを素材とし、細長い軸装の「雲消山嶽露」や「応作如是観」もあるが、大方は二〜六曲の屏風と額の大作。故に壁面は重厚なものだが、静邃な雰囲気の中、静かに各作の妙味が堪能された。

 深い学識と、錬成に錬成を重ねた日々の精進、そして高き精神性によって紡ぎ出される墨線は、ときに四曲屏風の「花鳥風月」のごとく、鑑者を魅了する美しい淡墨作となり、またときに二曲屏風の「浄土専念」のような、力強き筆致の濃墨作となる。他も各一点に異なる様相で見応え充分。

(7・12〜19、大手町/経団連会館十階チェリ―ル―ム)

 


 

 第42回水穂書展

 日本の書をずっと見続けてきた京都を本拠に、日本かな書壇に独歩の礎を築いた、文化功労者日比野五鳳直系の名門。

 現在は日展理事の日比野光鳳会長を筆頭に、副会長兼理事長池田桂鳳。副会長日比野実、土橋靖子。相談役後藤西香ら3名。参事2名。総務秋田素鳳、井場泉雪=文部科学大臣賞、西川寿子=五鳳賞、藤本玲舟ら43名。

 これに常任理事や理事そして他等々、2階をメインに1階を含め、かな作品約千五百点が一堂に陳列される様は、いつもながらに壮観である。

 日比野光鳳会長は堂々たる六曲屏風に、やや押さえ気味な墨調で「幾山河」(=作品写真右上)。潤渇と余白の美を呼応させ、なお新しい時代の書へと、自ら率先して表現の幅を拡げる。

 池田桂鳳「トマト畑」(=作品写真左上)は、淡い茶の料紙に、中央、左、右へと絶妙なバランスで全体を構成。氏らしい遊び心で、素朴な味わいを取りつつも、斬新な作品となっている。近来成長著しい日比野実は横の大額「萩の花垣」(=作品写真右側下)を、鮮やかな筆致で現代感覚を活かし、土橋靖子「春夏の歌」(=作品写真左側下)は、起承転結の呼吸も明らかに、品位をそなえた嫋やかな作品に仕立てた。他、後藤西香「滝の音」藤本玲舟「黒髪山」井場泉雪「鴬」西川寿子「萩」等を以て、今展を留めたい。

(8・6〜8、京都市美術館)

 


 

 2004長興書展

 今年のテ―マは『子規・漱石の言葉をかく』。これは以前にも幾度か取り上げられたが、既になじみ深いものとなった調和体での発表には、また新たなる感動があった。

 正岡子規と夏目漱石は共に明治維新前年の慶応3年生まれ。明治22年に知己を得て交遊を始め、同・28年4月に子規の故郷である松山に、漱石が中学教師として赴任。8月には子規も松山へと戻り、漱石の下宿に転げ込んで俳句に熱中した。

 漱石はこの頃の経験を背景に、同・39年、名作『坊ちゃん』を発表。口語調を文体とした初の小説であった。子規は同・35年9月に35歳で早世したが、近代俳句の黎明期だった明治時代に、写生文を提唱し、旧来の俳句を根底より改革。革新者として生涯に、二万五千句以上の俳句を残した。

 村上三島会長(=作品写真右上「春の日の…」)が、最も好むこの二人は、かくの如く文明開花の進捗と共に歩み、明治文学を開した、ニュ―リ―ダ―たちなのである。そんな彼らはまた、瀬戸内文化にも、村上会長同様、確たる縁を結んでいる。

 正にルネッサンスを経た明治文学は、新たなる希望を以て大衆に浸透した。現代における調和体も、その親和性においてまた然りであろう。そのほんの一部にすぎないが、掲載の古谷蒼韻「病氣の種類が…」(=作品写真左上)、栗原蘆水「二年の留学中只一度…」(=作品写真右側下)、杭迫柏樹「人間一匹」(=作品写真左側下)を以て、その証としたい。

(8・27〜29、大阪国際会議場3階)

 


  

 プロムナード

 酷暑の夏も10月に入って漸く去ったが、日本各地で真夏日の記録が更新された。だが更新と言えば、アテネオリンピックにおける日本のメダル獲得数、アメリカ大リ―グでのイチロ―選手の年間最多安打記録の打破と、スポ―ツ界では嬉しい知らせが多い。しかし一方迷惑なのは、台風の上陸回数や、それに伴う大災害。世界的なテロの続発と、原油価格の異常な高騰。そして未だ解決せぬ長き不況の行末である。

 世相はかの如くに、今年も初冬へと季節はめぐり、街は気の早いクリスマスでにぎわっている。果たして来年はどのようになるのか。齢を重ねるにつれ、一年という歳月が加速度を増して、短くなっていくことだけは確かである。

 


 

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