美術鑑賞社 04(zero-four)ギャラリー
2004年10月10日


 

 第65回記念大日本書芸院展

 昭和14年、翠竹書院第1回展を横須賀で開催。同25年8月、第11回展より東京都美術館に進出。同27年2月、文部科学大臣認許、社団法人大日本書芸院発足。同35年、第21回展より台湾との文化交流を開始。同62年、第48回展より中国が参加。以降、国際文化交流展として、今回の記念展まで連続開催を成している。

 漢字、仮名、詩文書、南画、前衛書と幅広い部門に2,035名の出品があり、内,601点が陳列された。台湾や中国からの出品も多く、第1室は国際色も豊かである。

 阿部翠竹理事長(=作品写真最右)のもと行草を中心とする漢字をはじめ、現代性を追求する仮名、細密に書き込む詩文書や、文人的な風趣を窺わせる南画、紙面一杯に展開される前衛書など、同院ならではといえる作品が壁面を埋め尽くす。幹部陣の前向きな運営姿勢が、全体的な水準の向上へと実を結び、その年輪と共に、着実な歩みを続けている。

 日本全国に約300の支部があり、創設者阿部翠竹より脈々と連なる正しい『書の伝統』を継承する老舗として、その錬成システムには不変の一貫性があり、圧巻たる展感。主な受賞者は内閣総理大臣賞=辻 陽谷(=作品写真右2枚目)。文部科学大臣奨励賞=田村翠津(=作品写真右3枚目)。第26回北村西望賞=鬼澤栄翠(=作品写真右側左)。大賞=竹本虎洞準大賞=三原瑞洞、金井明翠、菅原素翠、勝 申竹青木宏翠。福田賞=松田翠汀。中曾根賞=鳥屋部香翠。国際文化賞=若松顕翠等々。

(6・24〜29、東京都美術館)

  


 

 第35回臨池会書展

 文化勲章受章、文化功労者で日本芸術院会員の杉岡華邨氏が率いる臨池会の本展。かな書芸術の根源的認識に立ち、創作に精進を重ねている。

 記念すべき今回展は、より広く、天井も高い会場に移っての開催となった。またこれに先立ち、会の将来を見据え、次の如く役員が一新された。

 会長杉岡華邨。副会長赤江華城、楢崎華祥。理事長高木厚人。副理事長佐伯華水。事務長前島泉洲。副事務長襟立玉英、羽根光照。議長山本高邨。常任理事秋山英津子、池田紀泉、今井玲華、今仲康男、小川雪邨、尾上白邨、菊地季佳、島岡弘子、杉山玉翠、津田喜祥、長澤華飛、丸谷華丘、村田睦子。以上の新体制でのこれからに期待したい。

 広い1フロア―のこの会場への移転は他にも多く、それに伴う会場造りには、各団体とも工夫を凝らしているが、やはり臨池会は他と一味違う。

 メイン会場正面には、両翼を備えた床の間が設われ、会津八一の「旅人の名」(=作品写真右上)、万葉集より「山の雲」といった額装の会長作2点を中央に、丸山華丘の軸や、杉山玉水、秋山英津子、小川雪邨、襟立玉英の額等、役員8名の作品が、良き鑑賞の場を得て衆目を集めた。

 その手前左右が大作コ―ナ―。2枚のパネルに品格ある作調を示す赤江華城(=作品写真左上「白妙の…」)や、扇面5点と全懐紙四分の一の料紙16枚に西行法師の歌を、典雅にかつ効果的に散らした楢崎華祥の六曲屏風(=作品写真右側下「願はくは…」部分)をはじめ、高木厚人(=作品写真左側下「春といへば…」)、佐伯華翠(=作品「天土の…」)山本高邨(=作品「岡崎の…」)前島泉洲(=作品「城跡や…」)らの大作が、会を代表して、その実力の程を余すところ無く発揮。その他ヌ―ベル賞の金丸華心(=作品「春雨の…」)、木村和子。及び杉浦華桂(=作品「雲雀なく…」)の超大作にも注目された。

(6・26〜27、大阪国際会議場)

 


 

 第18回玄心書道展

 昨年の第35回日展で、内閣総理大臣賞を受賞した、劉蒼居氏が主宰する書道研究玄心会の本展。

 姫路市に本拠を置く同会には、50〜60代のいわゆる仕事盛りで、書道界の将来を担う逸材が出揃っており、関西漢字の一角を成す屈指の存在として、今後ともその動向には一時も目が放せない。

 今回から会場を、より広い原田の森ギャラリ―に移しての開催となり、流れるような行草に調和体を含めた、約500点の作品が出品された。またこれに伴い作品も大型化。

 劉蒼居理事長は3×8尺2幅に、禅語より「空手牽鐡牛」(=作品写真右上)の5字。濃墨の力強き墨線が、余白と同調してしっかりと受け止められ、実に彫りの深い世界を表出している。

 副理事長の明石聴濤の漢詩は、3×8尺に流麗な行草の3行(=作品写真左側左)。リズム感ある筆致との調和も心地よく、行間バランスに至るまで、手腕の程が施される。同・松本龍鳳の「余靖詩」は篆書の七言(=作品写真左側右)。表意文字の特質を良く活かし、吟味された線質も豊かに、まろやかに古代へのロマンを誘う。

 同じく3×8尺に果敢に挑んだ総務28名の中からは、大槻芳岳、前田柳汀、池永碧濤、日坂江城、三宅羅山の各作。及び伊丹東龍、江上蒼龍、江副景舟、玉澤岑砦、永野井雲らを挙げておきたい。

(7・2〜4、兵庫県立美術館王子分館/原田の森ギャラリ―)

 


 

 第44回墨滴会全国書展

 大阪を拠点とし、北は岩手から南は沖縄まで、日本各地に会員を擁する墨滴会の全国書展。大所帯が故に会場を二分。常任委員・公募は6・29〜7・4に大阪市立美術館で、より広いこの会場には、審査会員・委員の作品507点が展示された。

 廣津岱雲を相談役に、理事長毛利柳村(=作品写真右側右「藕糸繋大象」)、副理事長伊藤天游(=作品写真右側左「天涯比鄰」)、参与村上物外、山根玉峰、小倉國幹ら10名、総務・企画委員に柿本求峰(=作品写真左側左「これが私の古里だ…」、青木幽碩、小林逸光(=作品写真左側右「適野聽鳴禽…」)ら7名、総務細田先山ら6名など。逸材が実に豊富であり、以下常任理事、委員を含め、新体制とはなっても、一糸乱れぬ足並みの整然さは正に見事であった。

 先師廣津雲仙が創立してから今年は50周年。今回は最高賞にその孫が輝いたが、これも一つの縁というものであろう。

 前述の役員による3×10尺や5×6尺の、いわゆる30平方尺の大作も26点を数え、全体的にも、質実ともに個性豊かな作品が目についた。従来の多字数に併せ、大字作品にも、筆意、筆勢を認めさせる快作が出揃っており、見応え充分。作調に漲る生気と躍動は、明らかに現代である。記念展を来年に控え、居並ぶ幹部陣に加えて中堅層や新鋭に至る迄、一丸となっての前進を期したい。

(7・3〜4、大阪国際会議場3階)

 


  

 プロムナード・書画短信

第43回書象展 理事長田中節山。先師上條信山の遺墨2点に、幹部の古典臨書31点を含め、1,341点の出陳。出品者も増えており健全な前進を維持。 7・2〜6 新宿/朝日生命ギャラリ―

笠原清一郎自選展 第一美術協会常任審査委員で日本山林美術協会委員の笠原氏が、『抽象から舞子図まで』と題して、主題も表現も極めて多彩な自選の100点で、四半世紀の画業を回顧。 7・2〜7 大崎/O美術館

第75回斯華会書道展 会長小野之右。小野鵞堂直系の名門の恒例展。半切までの漢字各体や仮名に、自由で伸びやかな作品が和をもって出揃い好印象。 7・2〜7 銀座松坂屋カトレヤサロン

第22回神龍会書展 会長三宅剣龍。漢字各体にかな、詩文書と個性を活かした作品を、会長以下の52名が全79点に結集。日頃の真摯な錬成の程を窺わせて。 7・5〜7 銀座洋協ア―トホ―ル

'04春洋会の書 今年より夏の銀座展は同会の幹部作家を順次紹介する場とし、自然体での恩地春洋会長、躍動感溢れる小林琴翠副会長、文字の必然性を追求する富岡宏岳顧問と、三者三様の書で連合個展の如く。 7・12〜17 文芸春秋画廊

第18回白峰社役員書展 代表後藤竹清。テ―マ『風』に基づき、詩文書を主体に濃淡の一字書等を交え106名が出品。切れ味鋭き創意で、高水準を保つ。 7・15〜20 銀座松坂屋カトレヤサロン

第65回南門選抜書作展 会長大西昭堂。半切三分の一以内の寸法で52名が出品。多字、少字のバランスも良く、回を重ねこくのある作品が増えている。 7・30〜8・3 GINZA TANAKA HALL 4F

第52回書星展 理事長浅見錦龍。漢字各体や調和体などで892点の出陳。今年より第1室の幹部作には、出典の説明や作者のコメントが添えられ、鑑賞に際する良き手助けとなって好評。 7・30〜8・4 東京都美術館

第48回玄海全国書道展 三上栖蘭会長は2×8尺2幅に「禪林語句」を甲骨文字の大字で繊細かつ華麗に表現。他も大作主義が貫かれており、2×8尺4副以上も18点と見応えを増す。 7・30〜8・4 東京都美術館

第89回書教展 会長高木厚人、副会長福島一浩、常務理事田中雲峰、専務理事根本伸也など、戦後派を中核に体制を一新。芸術としての書へと、方針を定めつつ。 7・30〜8・4 東京都美術館

第44回紫雲書展 会長石澤康中。創立者藤田讃陽の書道精神を継承。漢字各体や仮名を主体に、詩文書等で277点の出品。漸進的ながら着実なる一歩を。 8・12〜16 新宿/朝日生命ギャラリ―

第28回全日本書会展 会長飯野幽硯、理事長岩田正直。実作主義の明朗な会として、広く門戸を開いており、漢字を主体に清新な雰囲気の会場を展開。出陳約千五百点。 8・13〜17 埼玉会館

第53回浜書展 主催横浜書道連盟、会長北見雨洋。会場一角には手島朱琳、北見琢也ら8名の大作コ―ナ―もあり、全体的にも漢字やかな等、総数258点の作品が幅広く自由な作調で。 8・13〜17 横浜市民ギャラリ―

第39回官公書展 主催官公書道連盟、会長島崎草雨。出品450点。漢字を主体に若手も順調な進捗を見せ、様々な書風が楽しめる。NPO法人としての活動にも期待。 8・13〜19 東京都美術館

第30回記念日本自由画壇展 昭和50年11月、初代理事長河口楽土により発足。その創立精神は四代目理事長橋本不双人まで、代々引き継がれて現在に至り、東洋の誇りである新しい水墨画の探究が続けられている。 8・21〜30 東京都美術館

同巧会夏季書展 会長昆逸山。全員参加へとの声に呼応し、今回より選抜から夏季へと名称を変更。実作を第一義とする展観は、漢字の各体を主に清新さ一入。 8・22〜28 有楽町/東京交通会館地下ゴ―ルドサロン

第25回ima女流選抜展 委員長松田明美。四半世紀の年輪の重みと共に、運営の自主性を特筆したい。実作上の確かな向上と新鋭の発掘、育成は、双方の相乗効果故と言えよう。 8・23〜28 銀座地球堂ギャラリ―

第12回開玄社書展 中村雲龍会長は、初孫の誕生を喜ぶ自作の調和体とこれに因んだ「心華」と「図南鵬翼」「戀」で4点。中枢の64名も漢字や調和体の佳品で。 8・24〜29 銀座鳩居堂画廊

第7回書海社同人展 昨年から広い会場へ移り半切、聯落、全紙、2×6尺等の形式で117名が出品。草書を過半とする各体で、陳列も整然と高水準を維持。 8・24〜29 東京銀座画廊・美術館

第25回蕉邦会書展 区切りの記念展に際し、銀座での開催。平成3年に逝去された先師深澤青蓼の遺墨5点による1コ―ナ―も設置。加藤泰玉ら31名が、漢字行草を主体に相和した力作で。 8・31〜9・2 銀座書廊

第48回凌雲書展 会長城所湖舟。会場には凌雲社の同人、準同人と公募による約370点の作品を展示。漢字は多彩な書体を駆使し、流麗なかなを交え、個性豊かな作品が壁面を埋める。 9・3〜8 横浜市民ギャラリ―

第23回日本現代書クアラルンプ―ル展内見会 東洋書人連合の20回目の海外展が、マレ―シアの首都で11月2日〜6日に開催される。今回は107点の作品が展示され、国際文化交流の実績を更に高めるべく奮闘。 9・6 銀座洋協ア―トホ―ル

 


 

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