美術鑑賞社 04(zero-four)ギャラリー
2004年4月10日


 

 第49回心象舎展

 今年も広くとられたメインの第1室中央に、先師金田心象の遺墨「原野」(=作品写真右側上)、「きみ報久」「似猿」を高く掲げての開催。

 代表村井虹城は2×6尺の横額に「志於道」(=作品写真右側下)。今の自分の状況を見つめなおし、初心に戻るとの事だったが、必然性を貫く強き大字は、新たな境地への道標とも受け取れた。中山秋水は漢詩の七言絶句「遠眺」(=作品写真左)を、2×8尺額一杯に3行。茶墨の濃淡を微妙に活かし、起承転結のリズムも豊かに、味わいのある作品に仕立てた。小宮草沙も同寸ながら、ダイナミックな造形の淡墨作。赤沼清蘭は全紙2枚継ぎの4幅に茶墨の発色も美しく、力のこもった造形で見せる。野原聖逸も同様の大作だが、こちらは潤渇を良く活かし、その呼応もフレッシュで清々しい。大村聖苑は同・2幅に、しっとりと落ちついた雰囲気を醸し、洗練さを増す。他にも大久保黎城、簀河原最恵、花岡沙苑=特選、松丸観山らのレギュラ―陣や、野村貞水=秀作、佳作の五十嵐華月ら9名等々。師の後を一途に追い前進を続ける。

(2・7〜12、東京都美術館)

  


 

 第57回書道芸術院展

 名誉会長種谷扇舟。会長恩地春洋(=作品写真右側上)。副会長香川倫子、小伏竹村(=作品写真左側上)、浜田一堂、村野大仙。理事長辻元大雲(=作品写真左側下)。副理事長小竹石雲、小浜大明、小林琴水、嵯峨大拙。常任理事石井明子(=峰雲賞・作品写真右側下)、大野祥雲、小伏小扇、下谷洋子、種谷萬城ら28名。理事松原秀圭、村山樸雲ら44名。

 日本全国に13ヶ所の総局・支局を配し、漢字、かな、現代詩文書、篆刻・刻字、前衛書の5部門を網羅する総合団体として、日本屈指の存在たる書道芸術院の本展。陳列数は審査会員526点、審査会員候補691点、無鑑査1400点、一般公募728点で、計3345点。長引く不況を反映し、全体的には漸減傾向ながら、一般公募においては、30才未満に対する出品料の減額措置もあり、若年層の搬入数は前年比5%の向上をみた。

 恩地会長、辻元理事長の新体制のもと、『21世紀の作家集団』を目指して4年目。お互いの立場を尊重しながらも、各部門の間での良き競い合いから、その刺激を以て、相互に作品の芸術性を高めようとする気運も、ここにきてかなりの浸透を見せている。この本展で殊に際立った意欲を示した作家を、各部から一名ずつ推薦し、銀座での秋季展で大作の競演を成さしめるなど、一年を通じての催しを連動させ、21世紀における理念も、着実に達成されつつある。

 今年は第1室を広くとり、役員作の体面に、会の将来を担ってゆく審査会員候補の優作が、壁面一杯に陳列され、また新たな会の活性化が果たされた。今後の動向にも注目して行きたい。

(2・7〜12、東京都美術館)

 


 

 第19回書団嘯龍社展

 第1室より大西昭堂理事長(=作品写真右側上「坐忘」)、副理事長の宝力白洋(=作品写真左側上「故園望断欲何如楚水呉…」)及び武内枝雪(=作品写真左側下「回生」)、そして野浦玉舟(=作品写真右側下「至」)、犬塚紫渓、川上香流、鈴木研堂、小山司雲、栗原翠雪、佐々木幸雪など、本年度運営委員の4×8尺、6×8尺といった大作が、際立つ覇気をもって出揃う。最高賞に輝いた田辺千敬の4×8尺「星河」も、むろんメインとなる第1室に陳列されている。

 今の世相を反映し、この会でも出品者が少し減ったとのことだったが、全身全霊を注ぎ込んだ各作は、圧倒的な勢いをもって鑑者に迫る。専ら漢字の世界だが、多字、少字に二分すれば、後者のほうが略7割を占める。どちらにせよ文字性を大切に、現代への力強い展開が成されている。

 順を追って見ていけば掲載作以外にも、少字では渡辺栖隆「清」の独自的な造形性、岩本京芳の「素雪暁凝華」における勢いある運筆、また高嶋秀茎、瀬田英草、船木豊海、阿部桂草、森玉桂、仲本竹峯、狸塚鉄祥らの豊かな個性に注目。多字ではユニ―クな構成の佐々木早風「君不見黄河之水天上来…」、調和体の池谷南流「雪のひとひらも、太陽…」、及び有馬芝翠、菅沼芳香、小峰紫光らの各作が印象深い。

 作品である以上、鑑賞に耐え得るものであることが先ず第一で、実作上の表現も、その一点に集中されるのが芸術作品である。その点、ゼネレ―ション間のギャップもなく、相互の和と風通しの良さを身上とするこの会にあって、日頃育成に力を入れている若い世代の伸びやかな台頭こそが、何よりの収穫として、期待感へと繋がってゆく。

(2・21〜26、東京都美術館)

 マ日本書道学院のHPはこちらです(主な作品18点を展示しています)

  


 

 第29回あきつ会書道展

 あきつ会はこの新春に創立35周年を迎え、記念すべき年明けに、第29回展を催すこととなった。今回は役員・入賞・入選作品による第1会場の上野の森美術館と、入賞・入選作品による第2会場の東京都美術館との会期が略重複し、理想的な状況下での発表となった。 第一会場は1階アプロ―チを委嘱一連の半切額に始まり、広いメインフロアに入って2×8尺や3×6尺の役員、審査会員作がずらりと並ぶ。

 仲田光成前会長の遺墨「あしびきの…」(=作品写真右側上)を正面中央に、島倉華越理事長「おもへきみ…」(=作品写真左側左)、仲田美佐登会長代行「あすならふ…」(=作品写真右側下)、そして米本一幸「山松を…」(=作品写真左側右)、森相壽道「わが庭に…」、大井淑子「雲の中…」、河村和子「明日香河…」といった本年度運営委員の6名や、これに加えて手島朱琳、横山喜代子など全33名が今回の審査にあたると共に、鍛え上げた腕のほどを各作に絢爛と披瀝し、より充実度を増した壁面が展開された。

 流石にこのクラスとなると、鋭い線質に固有な美を携える光成かなを基調としながらも、各個の顔を覗かせる作品が、かなり多くなっている。

 先師が独自に開拓したかな美を継承し、21世紀での新たなる飛翔を期するに相応しい展観に、明るい未来が展望された。

(2・23〜28、上野の森美術館/2・21〜26、東京都美術館)

 


 

 第66回謙慎書道会展

 平成元年に西川寧、平成5年には青山杉雨という、カリスマ的指導者を失った謙慎書道会だが、体制を一新してその後を立派に継承し、早くも10余年が経過した。

 その間成瀬映山理事長(=作品写真右側上)は文化功労者に顕彰され、新井光風事務局長(=作品写真左側左)は、このほど第60回(平成15年度)日本芸術院賞を授賞。またこれとともに、書としては3年ぶり、8人目となる恩賜賞にも選ばれた。

 今回は第1会場となる東京都美術館に、役員1,205点(=作品写真右側下・常任理事泉原壽巖、左側下・常任理事高木聖雨)、評議員2,534点で、計3,301点。第2会場の池袋サンシャイン文化会館は公募に当てられ、3,370点の展示。その総数は昨年比50点増で、7,109点を数えた。漢字部、かな部に篆刻部をあわせ、謙慎賞と秀逸に選出された公募作家は、次年度より評議員に昇格し、その数は毎年320〜30名に達する。

 そのため、第1室から第56室に至る東京都美術館の壁面は、既に満杯状態。役員のうち、常任理事の当番審査員以外は、3×8尺から2×8尺へと規定サイズを変更し、何とかスペ―スを確保した。

 いずれにせよ質、量共に関東最高峰の団体としての権威には、いささかの揺るぎもなく、歴史が培った独特の雰囲気を取り込みながら、成長を遂げてきた作品が埋め尽くす会場の充実度は流石に圧巻。書の大殿堂たる存在として、更に広大な歩みを踏み出している。

(2・28〜3・5、東京都美術館/2・27〜3・4、池袋サンシャイン文化会館)

 


  

 プロムナード・書画短信

小川秀石書展 毎日書道展審査会員、玄潮会副理事長である氏の、5年ぶり2回目の個展。『大地の氣を書く』をタイトルに、大作から小品に至る44点で、自然の全てを墨線に託し。 1・5〜11 東京銀座画廊美術館

第27回選抜研墨展 島村谿堂代表は、大型の四曲屏風に力強い筆致で、その全快ぶりを披瀝。これに続く29名も、幅広い表現にその水準の向上も明らかに。 1・6〜11 ロイヤルサロンギンザ

第7回竹扇会選抜書展 会長小伏竹村。漢字の一字書と少字を主体に、手応え充分な大作とセンス閃く小品で、会の中核たる41名がその全容を示し。 1・8〜13 GINZA TANAKA HOOL 4〜6F

第23回国際水墨画展 会長室伏春玲。水墨画の美しさを世界に広めるべく、現代的なモティ―フも新たに、墨一色の濃淡でその興趣を表し。 1・10〜17 東京都美術館

第45回有山社(東京謙慎)書道展 謙慎書道会の東都在住の常任理事以上84名に、先の本展で特別賞となった理事12名が出品。本格派の逞しい展観は、流石に玄人好みの高度なもの。 1・13〜18 東京銀座画廊美術館

第4回臨池会新春展 奈良に本拠を置く仮名の名門の同展も、新春の銀座にすっかり定着。屏風の大作から手頃な鑑賞作まで、典雅な作品が壁面を絢爛と彩り好評。 1・16〜18 東京銀座画廊

第31回書聖展 故・青山杉雨に師事した逸材、佐川倩崖会長率いる書道研究書聖会の恒例展。漢字各体を主に、仮名などをまじえ、本格派としての面目を果たす。 1・17〜21 上野の森美術館

第35回正筆会菁華書作展 これ迄の銀座三越画廊の閉鎖に伴い、広い会場へと移り、総務理事以上の104名が気分を一新、意欲も旺盛にかなの力作を揃えて。 1・20〜25 東京銀座画廊・美術館

第22回東雲会書展 先師仲田光成門下の高弟によるこの会も、年輪を重ねて10名となり、目的も自己のかな書の研鑽の場と変わり、各自が新たな世界を開いている。 1・20〜25 銀座鳩居堂画廊

第19回書星選抜展 理事長浅見錦龍。毎年趣向を変える小品の部は凧。会場中央に設えたパネルに162 名の機知に富んだ作品が並び、その外周を既遂の大作が囲む。 1・20〜25 千葉県立美術館

群鴎書人展 代表竹内幸を中心に、会員43名が先師千代倉櫻舟の後を一途に継承。近代詩文書を主体とし、和をもって邁進を続けている。 1・20〜25 千葉県立美術館

第47回横浜書道連盟同人展 北見雨洋会長をはじめ同人113名が出品。小品主体ながら、漢字や仮名など、多岐に渡る作調で。 1・22〜27 横浜馬車道ア―トギャラリ―

第46回東京書会展 理事長鈴木桐華。漢字の少字や多字を主に、かなや漢字かな交じり等で搬入971点。40代に期待の逸材も多く、整然と新天地の開拓に身を挺して。 1・23〜29 東京都美術館

第52回大東展 会長石川翠流。出陳425点。漢字行草を主に第1室から16室まで、二段掛けを排して尚、公募に5割増の壁面を配し、新人の発掘・育成にかけている。 1・23〜29 東京都美術館

第52回回瀾書展 2年ぶりの青陵賞を、かなの三浦真澄が受賞。10×11尺だけでも51点と、大作主義を貫く会場は迫力に満つ。なお会期直後の1月30日、水野精一会長が急逝。84歳。改めてご冥福をお祈りしたい。 1・23〜29 東京都美術館

第28回斯華書道展 会長小野之右。所謂鵞堂流直系の会として、各体の漢字やかなに伸びやかな作品が出揃う。会場の雰囲気も実に爽やか。 1・23〜29 東京都美術館

第53回書海社展 会長谷村憙齋。役員から一般公募迄、理路整然としたシステムに則った精進の成果を作品に反映。会場には緊迫感が漂う。 1・23〜29 東京都美術館

第35回記念開玄社書展 会長中村雲龍。記念展に際し日本書道院の1科審査員以上は、12尺平方尺の作品と臨書作で2点を出品。漢字を主に泰然と中庸の道を歩む。 1・30〜2・2 埼玉会館

第37回玄潮会書展 会長寺井朴堂。第13室までに670点の出陳。全般に一字書や少字作品が多く、濃淡いずれも素材とした語句を存分に吟味し、その究極を追う。 1・31〜2・5 東京都美術館

第39回貞香書展 理事長中村素岳。昨年創立80周年を迎え、次なる第40回記念展から来春の北京展へと、堅牢なる漢字各体を主に、出品者一同が意気も盛んに。 1・31〜2・5 東京都美術館

第10回記念東京水穂会書展 京都を本拠とするかなの名門の東都在住会員113名と、日比野光鳳会長ら役員8名による銀座展。粋を極めた雅びな展観で連日の盛況。 2・3〜8 銀座鳩居堂画廊

第18回欅会書展 会長鈴木まつ子。近代詩文書を主に全61名の伸び伸びとした作調が心地良い。会場一角では常任理事の千葉美恵子コ―ナ―展も併催。 2・12〜17 銀座松坂屋カトレヤサロン

第40回記念菅菰書展 会長猪俣稲果。記念展にあたり、各社中より作家を選抜。3×10尺に鳥越新芽=東京都知事賞ら3名、5×5尺には佐々木幸花ら5名が、果敢な大作で壁面を彩った。 2・13〜19 東京都美術館

第24回鶴心書道会展 会長山田松鶴。本年度審査員には松長峰石ら18名があたり、2×8尺の漢字行草作を主体に250点の出陳。記念展を控え、着実な進捗が心強い。 2・13〜19 東京都美術館

第51回朝聞書展 鈴木桐華会長を筆頭に、漢字の多字や少字の大作に果敢なる挑戦。中堅からも逸材が台頭し、壁面の充実度も更に明確。 2・17〜22 上野の森美術館

第24回有秀会書展 主宰三上栖蘭。『筆を使わないで書く書展』をテ―マに、葉巻や線香等、各自が試行を重ね、ア―ト感のある作品で。 2・17〜22 銀座鳩居堂画廊

第44回同巧会書展 開放感ある会場に、昆逸山会長以下の49名が、漢字行草を主に各一点に創意を込め、清新なる作品を集結。 3・3〜8 銀座松坂屋カトレヤサロン

 


 

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