白亜展は、記念展後の第26回から新体制のもとに、新たな一歩を踏み出した。現在残っている創立会員は5名にすぎないというから、会の歴史が実感される。今回もベテラン作家の活躍が目立ったが、もっと新人作家の輩出が望まれよう。
人体像とオブジェのキュビックな組み合わせが面白い沖口智恵子「アトリエ」=東京都知事賞(=作品写真右上)。色調と構成を変化させながら、詩的イメージを定着させる原田嘉徳「VENEZIA」=文部科学大臣奨励賞(=作品写真左上)。
老いゆく人生の姿に迫る淺田照「La Vida」(=作品写真右側下)。雪景の中に春の鼓動を感じさせる鳥居塚照明「浅春」(=作品写真左側下)。
海辺の激しい量感的岩石を、風景空間の構成で際立たせる酒井俊幸「朱夏の風潮(東尋坊)」。さまざまなポーズの女性像に、現代の風俗を見る岡田久美子「閑」。たくさんの花や果物を、室内空間で調和させる福尾佳子「卓上の静物」。重厚な描写で迫力を増す松本孝人「冬の香春山」。
確かなデッサン力により清楚な女性像を描く亀田清「レッスン前のひととき」。文学的シーンをほうふつとさせる喜多康夫「樋口一葉の世界 大つごもり」=優秀賞。また桜根則子「かよわき弱い物達へ」が発信するユ―モラスなイメ―ジ等々の作品を、今回の注目作として挙げておきたい。 【佃 堅輔】
(12・10〜16、東京都美術館)
国際美術交流は、i.m.a.展のスロ―ガンに掲げる『世界に向かって呼びかけ』る現代日本の国際化の試みである。2002年8月、ソウルでの黎明会展に22名が参加。この第29回展では、黎明会の作品約40点を招待し、見ごたえある、充実した展覧会となった。韓国の作品は、いわゆるモダンな傾向は少なかったが、その民族的、風土的特徴に基づく真摯な自然描写が、とりわけ印象に残った。今後の交流展にも大いに期待したいと思う。
松田高明会長の「イリュ―ジョン」(=作品写真右上)シリ―ズ。
今回は黒い地に構成された板に、鮮明な赤の亀裂が入り、混沌とした世界へ向かう時代を予見するかのようだ。
柔らかき秋の気配に溶け込むような檜原和「AUTOMEN・」(=作品写真左上)。家庭の幸せの一場面を描く、金井清子「DREAM」(=作品写真左側下)。花に夢想を寄せる、松田明美の「花をいだく」(=作品写真右側下)。杉本ひろみは「港の祭典カ―ニバル(夢彩遊戯)」に、オ―トマティックな色彩ドラマを展開する。
情念を表出する佐藤郷子の「海を渡る女神」=文部科学大臣奨励賞は、迫力ある物語性を示す。渡辺節代の「memori」=i.m.a.大賞は、空間装飾性のシャ―プな感覚が光る。その他、垣見久子、新保ゑ子、鈴木麻紀らを挙げておく。 【佃 堅輔】
(12・10〜16、東京都美術館)
全国に約五千五百人のかな書家を擁する名門、正筆会の本展。例年の如く会期を二分し、12月10日・11日を前期として、理事作約980点を展示。12日は掛け変えにあて、13日・14日の後期には歴代会長の遺墨を含め、常任理事以上の作品411点が展示された。また広い会場に移ったのを期に、回数を第1回展から通算し、今回を第55回展とした。
会場は概ね10のブ―スに仕切られ、第3ブ―スを略正方に大きく開放。天井も高くなり、黒田賢一理事長をはじめ、ここに集う常任総務理事陣の作品も大型化を果たし、壁面を絢爛と彩った。
今回の日展で、栄えて会員賞を受賞した黒田理事長は、4×4尺の絹本4枚に与謝野晶子の歌で「四季」(=作品写真右上)。
快調さをそのままに、墨の潤渇と行間が能動的に共鳴し、現代のかな美を盛り立てる。
副理事長森本栖鳳は、額田王が詠んだ長歌「冬ごもり春さり来れば…」(=作品写真左上)を2×8尺の4枚に縦の流れを一貫し、大型のパネルに仕立てた。同・大西きくゑは、古今集の歌「とこしえに…」(=作品写真左側下)を白い絹本の内にまとめ、新たな自己形成を試みた。同・小野桂華の「月の街」(=作品写真右側下)は調和体の四曲屏風にロマンチックな雰囲気を醸成。加えては常任総務理事より田中徹夫、三宅白城、山根亙清らに注目。
(12・13〜14、兵庫県立美術館/原田の森ギャラリ―)
第45回記念展の役員は常任顧問浅見錦龍、同・(運営委員)鈴木景堂、同・(〃)梅原清山。会長(〃)福田丞洲(=作品写真右上「白雲流水」)。副会長(〃)田中鳳柳(=作品写真左上「禅言[五言二句]」)。董事(〃)新藤香懸ら4名。理事長(〃)藤波曽川(=作品写真左側下「燦」)。副理事長(〃)梶野暁涙、同・(〃)石川流芳。事務局長(〃)西村東軒(=作品写真左側下「貞誠」)。副事務局長(〃)蕗野雅宣、小原天簫。運営委員赤塚子葉、猪俣稲果、垣内楊石、鈴木暎華、春藤大耿ら9名。理事総務大森九鳳、佐藤青苑ら5名。監事小高暎帯ら2名。
記念展に際し、広くとられた第1室から第2室にかけ、5尺正方の藤波曽川などの役員は無論のこと、理事の実行委員以上には3×8尺の大作が許され、蕗野雅宣、伊東玲翠、遠藤有翠、石島廻山、森久圃、中元泰乗ら20名が、これに応えて意気旺盛な快作を発表。
理事陣が2×8尺でこれに続き、審査会員はこれをスリムにした作品や2×6尺等、会員、準会員、そして半切の公募まで、第25室に至る会場には、陳列も整然と1451点に及ぶ作品が並ぶ。
16団体の集合体ゆえ、その作風は実に多岐にわたる。和して同せず、互いを認めあっての錬成であり、会の運営も極めてスム―ズに行っている。その歴史と共に、21世紀の会を担う精鋭も順調な台頭を示すが、第50回展を視野に入れたこの5年は、会の将来にとってまさに正念場となろう。雄々しき前進を期したい。
また記念事業の一環として、和硯・朝鮮半島硯を産地別に、各々42点と28点の計70点を特陳。丁寧な解説付きの図録も作成され、衆目を集めた。
(1・11〜17、東京都美術館)
マ太玄会のHPはこちらです(主な作品20点を展示しています)
会長戸田堤山。理事長貞政少登(=作品写真右上「開心」)。副理事長仲川恭司(=作品写真左上「大覺」)。常務理事片岡重和、竹内鳳仙ら4名。理事上松一条(=作品写真右側下「看花眼」)、柿下木冠(=作品写真左側下「苦」)、森本妙子、渡邉東龍ら12名。監事矢萩春恵ら3名。評議員外山博彰、鳥越祥博、松浦江秋、山中翠谷ら29名。審査会員大石千世、小川白果、北見雨洋、村松太子ら211名。
今回展の作品搬入数は会員、準会員、会友、一般公募に、会員昇格内定者6名、準会員昇格内定者14名等で2347点。
全力的で最も果敢な精鋭が集まっており、堅実な前進体制も、いよいよ強化されている。その陰には、不断の烈しい錬成はもとより、高邁な確信からの厳しく長い忍耐があり、その賜物とすればやがて雪解けなどを待つまでもないであろう。
この独立書人団が現書壇において、ますますその存在価値を明確にするのは、むしろこれからなのではないか。すでに新時代が始まっている。
偉大なる先人、手島右卿から脈々とつらなる品格と、燃えるような芸術的意欲がうずまく場中、その僅か一部に過ぎないが、掲載とした諸氏の作品をもって、その記録に代えたいと思う。
(1・11〜17、東京都美術館)
プロムナード
ル―ルやシステムが無いと、コンク―ルにならないというのが、一般常識とされている。もちろん芸術をスポ―ツなどと比較されないのは当然だが、鑑審査の場合、何をその基準にするかという問題になれば、会社などの就職試験にも似たところが出てくるであろう。
応募者がその覚悟であるなら、別に何の疑問なども出る筈がない。公募展なども、その意味からすれば、端からとやかくいうのは、おかしな話となってくる。しかし医者には国家試験があるように、芸術の審査員や、また評論家などにも、一定の枠があって然るべきではないだろうか。現状を見れば、その名のみの有象無象が、決して少なくはない。一切の芸術行為にも、真に裏付けがあるかないか、その見極めが一番大切なのである。
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