美術鑑賞社 03(zero-three)ギャラリー
2003年11/12月10日


 

 第18回現代日墨展

 いわゆる古来からの山水とは違い、この会は現代を称するに相応しく、モティ―フやその表現方法にも、斬新な傾向を示す作品が多い。現代遊墨展から新組織として改称し、再スタ―トを切ってから2年目となるが、結束は益々固く、50号の出品も史上最高となり、総出品数も約220点と、大幅な躍進を続けている。

 主宰の根岸嘉一郎は、闇に燃え立つ火柱のゆらめきに生命感を宿らせる「炎」(=作品写真右上)と、幽玄な「霧玄・寒山」で2点。

 現代日墨展大賞に輝いた小林福次「倒木」(=作品写真左上)は、倒れてなお上方に枝を伸ばす樹木に、限りなき自然のエネルギ―を描き出す。同・準大賞の鈴木政「蔵」(=作品写真右側下)及び田中正信「路地裏のひととき」(=作品写真左側下)は、モティ―フこそ違えど、歳月を重ねての歴史的味わいを、緻密な筆で表している。

 松浦恵子「ファンタジ―」=北区長賞は、後ろ姿の裸婦と幻想的な異次元の空間が、見事なる融和を成す。柚本計悟の「双鶴比翔」=北区議会議長賞は、濃淡を駆使した奇峰群の間を飛び行く鶴の姿が、全体を引き締めて印象的。清水千恵子の「現象」=北区教育委員会賞は、現代における一つの事象をフレッシュな感性で抽象的に描く。また、中山玉恵「冬韻」=北区文化振興財団賞の真摯な作調にも注目された。

(7・1〜6、王子/北とぴあ展示ホ―ル)

  


 

 第17回玄心書道展

 毎年、読売書法展への出品作と創作期間を重ねての強行軍となっているが、この会には理事長をはじめ、50〜60代の所謂仕事盛りの精鋭が出揃っており、その動向には常に注目せざるを得ない。

 劉蒼居理事長はメインとなる2階正面に、律動感ある「墨研青嶂石…」(=作品写真右)の五言句と、3×6尺の横額に「朴の木に…」の調和体、小品コ―ナ―に一字書、ベテラン勢を中核とする1階特別展示室に、調和体の「人に支えられて今日がある」で、いずれも趣を変えた4作に、その懐の深さを存分に発揮。松本龍鳳副理事長は「洞門水…」(=作品写真左側右)。隷書の七言には、余白の美が如実に活かされており、同・明石聴濤は2×8尺に「暮歸走馬沙…」(=作品写真左側左)で、三行に渡る行草が、華麗な線質の美を醸しだす。

 これに続く総務陣からは池永碧涛「窮鳥懐に入れば…」大槻芳岳「秋霽倚層樓…」高崎蒼秀「高梢に蝉の…」永野井雲「柳影好隠暑…」三宅羅山「光浄」らの各作が特に印象に残る。逸材は他にも実に多く、広く新しい会場に移っての次展へと期待が膨らむ。

(7・4〜6、兵庫県民ア―トギャラリ―)

 


 

 第43回墨滴会全国書展

 関西屈指の大会場には役員、審査会員、委員らで506点。大阪市立美術館(7・1〜6)では公募と常任委員で414点が展示された。今年は読売書法会の理事以上の役員が、3×10尺や5×6尺等の30平方尺に、少字数での大字作品をと統一。普段はあまり行っていない大字に、毛利柳村理事長「善閉無關鍵」(=作品写真右)、伊藤天游副理事長「窮高極遠」(=作品写真左側左)をはじめ、吉原香蓮「拈華微笑」=文部科学大臣奨励賞(=作品写真左側右)、伊藤仙游「去華就実」奥村翔鴻「愛と美で一杯です」小林逸光=「吾心似秋月」細田先山「黄河點魚」等の力作で、21名の有資格者が各々気合を込め果敢なる挑戦を成していた。会の中枢を担う実力者にとっても、意義高き好企画と思われ、今後もこの姿勢の継続を望みたい。

 会場左側をメインに、これら30平方尺の力作がずらりと並ぶ様は、迫真力に満ち、以降に続く常任理事や理事、評議員の2×8尺や3×6尺の作品と合わせ、今回より体制を新たに整え直した同会にとり、その未来を明るいものとしている。

 全体的には骨格逞しい漢字各体が主となるが、調和体も程よく交えられており、料紙も白一辺倒ではなく、赤やピンク、オレンジ、ブラウン、ブルー、緑等と思いの外カラフルで、壁面に良きアクセントを添えている。更に一丸となっての邁進にこれからを期したい。

(7・5〜6、大阪国際会議場3階)

 


 

 2003書王社選抜展

 出品者70名、総陳列数約90点とは昨年と同様。

 鈴木景堂会長は、薄緑をベースに金の紋様が入る半切軸に「風月壺中自一天」(=作品写真右側右)を軽やかなリズムで、文字間のバランスも絶妙にまとめる。他、黄色の料紙に調和体の「露天風呂にひたり…」や、特有なかなの小品「見返れば…」の自詠作2点。そして扇面形の料紙に柔らかき2字の「飛遯」で4点を出品。ともに作調と趣を変え、氏ならではの懐の深さを窺わせる。

 鈴木暎華理事長は、半切を縦に二分した細長い料紙に、筆の食い込みも良い濃墨の一行書「槐陰日色薄桐葉雨聲長」(=作品写真左)と、手中の陶板作が「明河在天」と「幽雅」の2点。

 総務兼事務局長の石島廻山「冬夜長兮冬夜長…」(=作品写真右側中)と、常任理事の大場大幹「江花江草故郷情…」(=作品写真右側左)は、同じく半切に2行の七言絶句。共に実力充分で、各々の持ち味を活かし、その対比もまた一興であった。景堂賞に輝いた志村恵風「一つ星…」は、一茶の句にしみじみとした情感を添える。三谷照子「千峰鳥路含梅雨…」=カトレヤ賞は、印象深き墨量豊かな七言の一行。福田節子「しづかなる…」=羽衣賞の優美な仮名にも着目された。

(7・10〜15、銀座松坂屋別館5階カトレヤサロン)

 マ書王社のHPはこちらです(主な作品21点を展示しています)

 


  

 プロムナード・書画短信

第64回大日本書芸院展 理事長阿部竹翠。漢字の多字、一字書、近代詩文書、仮名に1,450点の出陳。台湾、中国との国際文化交流も40年近くその成果も着実に。 6・24〜29 東京都美術館

第43回日本書鏡院展 会長長谷川耕成。漢字部を主に仮名部、文人画部が続き、出品は学生部を含め千点強。大字作へ果敢に挑んだ作品も多く、壮観な会場を展開。 6・24〜29 東京都美術館

第63回南門選抜書作展 理事長大西昭堂。宝力白洋、武内枝雪、野浦玉舟ら選抜された47名が、手頃な鑑賞作にインテリア感覚を添えた作品も含め。 6・27〜7・1 GINZA TANAKA HALL 6階

第47回東方書道展 名誉同人鈴木桐華ら5名。以降功労者、同人、準同人、公募と続き出品者は1,725名。漢字の多字や一字と仮名に皆が自由なる新天地を謳歌。 7・1〜6 東京都美術館

第38回書作家展 会長木村東道。出品数212点は昨年比6点増。公募も増加しており、漢字行草を主に仮名や篆刻も交え、システムに則った前進を着々と実施。 7・1〜6 東京銀座画廊美術館

第42回書象展 全紙3分の1幅のいわゆる書象サイズで出陳は1,334点。出品数も増加し、漢字各体に仮名、調和体を含め、一糸乱れぬ会場は満杯。 7・4〜7 新宿/朝日生命ギャラリ―

第74回斯華会書道展 会長小野之右。今年も小野鵞堂ら歴代会長の遺墨を囲み、役員から会員に至る126名が、半切迄の漢字や仮名に、清々しき佳品で。 7・4〜9 銀座松坂屋カトレヤサロン

大熊栄子展 傘寿を迎えて尚壮健な三軌会のベテラン。風景や花の静物に深き情感を込め、ここ10年の大作と20号以下の新作で23点を発表。 7・7〜12 銀座井上画廊

夏季春洋会書展 会長恩地春洋。副題を《春洋会の今》とし、32名が略一字書にその持てる力の全てを入魂。全紙から小品まで、手応え充分な作品を揃え好評。 7・7〜12 銀座文芸春秋画廊

第17回白峰社役員書展 代表後藤竹清、理事長鈴木まつ子。以下副理事長佐久間康之ら4名から同人迄の役員が《月》をテ―マに各様な近代詩文書で。 7・17〜22 銀座松坂屋カトレヤサロン

第51回書星展 理事長浅見錦龍。屏風と額の大作に、静動の書を対比させた第1室から第19室まで、1点ずつの厳選を経た905点を展示。逸材も多く高水準を維持。 7・30〜8・4 東京都美術館

第47回玄海全国書道展 会長三上栖蘭。漢字、かな、近代詩文書部に刻字部を併せ、出陳は300余点。2×8尺4幅の大作も24点と、伸びやかさが先ずは身上か。 7・30〜8・4 東京都美術館

第52回浜書展 主催横浜書道連盟(会長北見雨洋)。一般部と学生部から成り、総出品数は漢字や仮名で約750点。今回は特に大字部の迫力ある一字書に注目。 8・12〜17 横浜市民ギャラリ―

第38回官公書展 会長島崎草雨。おそらく日本書壇では二番目のNPO(民間非営利組織)法人となった、官公書道連盟の本展。今回は平静だが今後の動向に期待。 8・13〜19 東京都美術館

第43回紫雲書展 新会長に石澤康仲氏が就任してから、2回目となる紫雲書道会の恒例展。若き会長のもと、幅広い漢字や仮名に真摯な姿勢を貫いて。 8・16〜20 新宿/朝日生命ギャラリ―

'03 同巧選抜書展 出品は半切迄で、昆逸山会長以下45名。漢字各体を主に、かなや詩文書も。各作ともに味わいが異なり会場は清新さに満ちる。 8・17〜23 東京交通会館地下ゴールドサロン

第27回全日本書会展 会長飯野幽硯、理事長岩田正直。今回は11都府県から一般部と学生部に1,602点の出品。全書家に広く門戸を開き、本来の作品至上主義を貫く。 8・21〜25 埼玉会館

第29回日本自由画壇展 理事長橋本不双人。出陳218点。先師河口楽土の創立精神を今も継承しつつ、創造の世界を目指した現代墨彩・水墨画を探究し前進を続ける。 8・21〜30 東京都美術館

第24回i.m.a.女流選抜展 松田明美委員長以下10名の委員が率先して運営にあたり、37名が略10号に多彩な佳品を結集。初出品の4名も良き新風を送る。  8・25〜30 銀座地球堂ギャラリ―

第11回開玄社書展 サブタイトルを“中村雲龍とその仲間たち”とする、中村会長を囲んでの有志展。漢字、詩文書、かな等の85点には、自在なる創意が凝らされ、会場の雰囲気も和やかに。 8・26〜31 銀座鳩居画廊

第6回書海社同人展 出品は役員を含め143点。今年から広い会場へと移り作品も大型化。各自の創作意欲を更に刺激し、漢字を主にその力量を存分に披瀝。 8・26〜31 東京銀座画廊・美術館

鈴木桐華書展 日展評議員で東京書道会理事長を務める氏の、傘寿を記念しての個展。少字数書を主体とした50点に、自然体のロマンと温もりが籠もる。 8・27〜9・2 松屋銀座7階画廊

第11回清蓮会展 主宰湯原良江。隔年開催で日本の伝統文化である仮名と墨画の研鑽を重ね、73名がその年輪に相応しい壁面を展開。 8・28〜31 池袋/東京芸術劇場

第29回銀川会展 代表原満子以下の29名が、専らかなの伝統美に立脚しつつも、現代のインテリア感覚を各一作のうちに一致させ和やかに。 9・9〜14 銀座鳩居画廊

 


 

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企画・制作 美術鑑賞社 藤谷弥道

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