美術鑑賞社 02(zero-two)ギャラリー
2002年9月10日


 

 第54回朝陽書道会展

 平安時代を中心とする古典の研鑚につとめ、又光悦、良寛をはじめ近世のすぐれた作品に眼をとどめるつつ、更に中国の漢字の奥深い諸作に憧憬し、精進の日々を重ねる朝陽書道会(会長高木聖鶴)の第54回展。

 師風をまねず、自己の表出を第一義とする同会では、陳列も作品本位となっており、幹事、会員作も良いものは、一階の役員と肩を並べて展示されている。二×八尺、三×六尺の額装を中心に、半切や小品の軸、そして巻子、折帖をまじえ、出品は全267点。幹部から一般まで、各一作に真摯な成果が爽やかに展開されており、家族的な雰囲気と相まって、会場は一際和やかなものとなっている。

 高木聖鶴会長は手中のベ−スとなる細字で、5mにも及ぶ「古今和歌集抄」の巻物と、掲載とした調和体作「信は縦糸愛はよこいと…」(=作品写真右上)の額で2点を出品。同じく複数出品は、法元康州(=作品写真左上「文字の持つ美しさや面白さは…」)、林春月(=作品写真右下「ひとの花つみしける所に…」)の両副会長で、同・井上玲玉(=作品写真左下「大海のしほいて山に…」)以下、理事長勝瀬景流(=作品「池に月のみえけるをよめる」)副理事長森川星葉(=作品「おのづからけだかき香にや…」)、及び常任総務の牧凌鶴(=作品「くれなゐの八重てりにほふ…」)ら一同は、略仮名の一点となっているが、各々多彩な手応えは流石と思われた。一つの節目となる次回へと期待が膨らむ。

(6・11〜16、岡山県総合文化センター)

 


 

 第74回新構造展

 星霜移り人は変われども、創立の理念と情熱を内に秘めて進化し、私物化される事のない会は繁栄する。そして美術史上に残る作家が集い、また生まれる。会を牛耳る大幹部の責任は重い。慣れと惰性では過ごせぬ、厳しい日々が待っている。

 代表清浦正風の出品作「富士夕景」(=作品写真右上)は、50号ではあるが、夕映えを格調高く堂々と描いている。小田津也二の「連立の装置」(=作品写真左上)は、運河縁の化学工場であろうか。構造物の設計上の美しさは別にして、連立する反応塔群を明るいパープル系で、優しい風景に表現し得た技術は、並みではない。

 前嶋実の「九十九里燦々」(=作品写真右)は、廃船と陽光、群飛ぶ鳥と黄色の虹等、未来に希望を託す心象画。大久保智弘の「嫁ぐ日の父と娘」(=作品写真左)は、定めを受入れざるを得ない父と、嬉しさを秘め緊張している娘が、バージンロードを歩む姿を、情緒豊かに描き切っている。本目雅己の「林試の森」は、鬱蒼と茂る林と、その中に作られた遊歩道の新緑の情景を描いているが、やや雑な感が持たれた点は惜しまれる。

 田村誠の「ドラム缶によるコンポジション」は安田火災美術財団奨励賞を、原尚利「KATACHIー'02 」は、内閣総理大臣賞をそれぞれ受賞。他にも受賞作は多いが、今回は会員より、すらりと伸びた裸婦の姿態が実に印象的な、田中幸夫「心の遍路旅」を挙げておきたい。 【小島一郎】

(6・12〜22、東京都美術館)

 


 

 第42回墨滴会全国書展

 関西に拠点を置く、書壇屈指の漢字団体だが、カリスマ的創設者の先師広津雲仙亡き後、頼りの林田芳園も既に鬼籍に入られ、現会長広津岱雲も病気静養中につき不出品とあっては、副会長の毛利柳村(=作品写真右側右「多添少減」)、大重均石(=作品写真右側中「馬耳東風」)、伊藤天游(=作品写真右側左「遊大覚観」)の高弟トリオに、大きく今後の会の命運が係ってこよう。今回は奇しくも三×十尺の大作に、大字で四字の競演となったが、各々に閃く個性と風格があり、その点、実に頼もしく思われた。

 会場中央、三×十尺の役員大作は、前述の3氏と常任理事29名。漢字の多字では、文部科学大臣奨励賞となった小倉窓筧(=作品「幾點社翁雨…」)をはじめ、国川喜祥、西本茜堂、村上物外、小倉國幹、茅原南龍(=作品「曉至湖上」)小林逸光(=作品「城下河流日暮寒…」)、吉原香蓮、伊藤一翔ら、大字では辰巳敬山、伊藤仙游、また調和体では藤重墨舟(=作品「林尚子の詩」)、奥村翔鴻らの各作に注目された。

 会場は全体的にシンメトリーな構成を取っており、二×八尺を主体とした十六平米作で、常任理事、理事、常任委員、委員、及び公募の入選作が、広い会場を整然と埋め尽くす様は正に壮観。より求心力を強め、一丸となっての前進に、これからを期待したい。

(6・15〜16、大阪国際会議場3階イベントホール)

 


 

 第63回大日本書芸院展

 理事長阿部竹翠(=作品写真右)。長い歴史を持つ社団法人大日本書芸院の本展は、今回出品点数が昨年より若干増え、台湾1,122点、中国416点の国外作を含め総数は3,257点。このうち1,562点が陳列され、壁面は上下共に全てが埋め尽くされた。

 漢字、仮名、一字、近代詩文書など、様々な分野から、幅広い出品があり、これらを一堂に鑑賞することが出来るのは、大規模展ならではの事である。実力者の個性ある作品に続いて、中堅以下が果敢に創作へと挑んでおり、結束も固く全員が一丸となって、新天地への開拓に務めている。

 主な受賞者。内閣総理大臣賞=石倉城雲(=作品写真左)。文部科学大臣奨励賞=山田竹綾。第24回北村西望賞=相澤竹玲。大賞=稲井祺翠。準大賞=斉藤暎翠、鈴木審竹、新川竹勢、涌田翠香。福田賞=古家待翠。中曽根賞=佐々木楠翠。国際文化賞=瀬川翠蛙。その他各賞多数。

(6・24〜29、東京都美術館)

 


 

 プロムナード・書画短信

第27回書道玄海社選抜展 会長三上栖蘭以下38名の会を代表する選抜メンバーが、横幅60cm以内という規定の中、漢字を主体に各自の個性を際立たせ好印象。 5・28〜6・2 銀座鳩居堂画廊

第38回太玄会役員書展 会長福田丞洲。理事以上の役員作162点に、新審査員の作品24点を併設展示。高水準の多彩な展観で面目を立派に果たす。 5・30〜6・4 新宿/朝日生命ギャラリー

第48回光荘会書道展 四代目の荒井青荘会長をはじめとする女流の殿堂には、かなや漢字に心の籠もった作品で472名が出品。世代は移れど、和を以て伝統を守る。 6・1〜2 東京美術倶楽部

第31回書玄社現代書展 今年も宇留野清華の遺作を囲み、出品者100名が近代詩文書と漢字に、持てる力を存分に尽くし、明日への光明を目指す。 6・6〜11 銀座松坂屋別館5Fカトレヤサロン

第28回臨泉展 理事長佐々木月花。二×八尺、三×六尺、全紙等に、少字や多字数の各様な漢字及び仮名で、誠実な研鑽の成果も歴然と、実に様々な作品を揃え。 6・9〜14 上野の森美術館

第37回北城書社展 代表井垣清明。出品は大作から小品まで全76点。漢字各体を主に調和体も交え、全般には深き書学の篆、隷系が多く、重厚で玄人好みの展観。 6・9〜14 上野の森美術館

第42回日本書鏡院展 漢字部、かな部、文人画部、児童生徒の部から成り、約千点の出品。長谷川耕生会長以下、幹部諸氏が三×十尺に快作を揃え、見応えも充分。 6・24〜29 東京都美術館

第61回南門選抜書作展 池谷華道理事長、宝力白洋、武内枝雪両副理事長をはじめ55名が出品。半切三分の一以内に、文字性を重視しつつ、創意を凝らした各作で。 6・29〜7・3 銀座書廊

第17回21世紀国際書展 書芸術を通じての国際交流と、次代の書家の育成を目指す同展には、中国、韓国も含め一四五八点の応募があり年々の盛況。 6・29〜7・3 横浜市民ギャラリー、桜木町/ギャラリー守玄齋

第46回東方書道展 第一部=漢字、第二部=かな、第三部=少字数と調和体から成る同展の出品数は一七三八点。36団体の連合体だが、足並みが良く出揃い、自由に新天地を謳歌している。 7・1〜6 東京都美術館

第37回書作家展 会長木村東道。204名の出品作は、役員と一般の一部を除き、略半切に統一。漢字行草を主体に、かな、刻字等を含め、高水準の壁面を展開。 7・2〜7 東京銀座画廊美術館

第41回書象展 総出品点数は、田中節山理事長ら幹部の古典臨書30点を含め一三一二点。全紙三分の一幅に統一された作品が、壁面を埋め尽くし壮観。 7・5〜8 新宿/朝日生命ギャラリー

◇第20回神龍会展 三宅剣龍会長は「天福」他で3点。2点出品者も25名を数え、全国より参集した65名が半切の漢字作を主に、一年の成果を伸びやかに。 7・8〜10 銀座/洋協アートホール

大野祥雲・小林琴水書展 主催春洋会。二人は共に書道芸術院に所属して、大字書を中心に活躍を成す。今回は大野氏13点、小林氏15点の出品。各一作に自己の書の凝集を見せ好評。 7・8〜13 銀座/文芸春秋画廊

第73回斯華会書道展 今年も小野鵞堂以下、歴代会長の遺墨を囲み、顧問、運営委員、無鑑査会員、会員の120名が、多彩な漢字や仮名作品で和やかに。 7・11〜16 銀座松坂屋カトレヤサロン

第16回白峰社役員書展 代表後藤竹清、理事長鈴木まつ子。雪をテーマに、各々が思いを込めた詩文書作で。指名8名の少字作を含め、全107名が出品。 7・18〜23 銀座松坂屋カトレヤサロン

第50回記念書星展 書星会は先代の浅見喜舟により、昭和13年に創立され、同28年に第一回展を開催。同32年には社団法人として認可され、現在に至る。出品は浅見錦龍理事長をはじめ、すべてで959点。高き芸術性と豊富な逸材が、何よりの身上と言えよう。 7・30〜8・4 東京都美術館

第46回玄海全国書道展 漢字・かな・近代詩文書部、及び刻字部から成るが、主体は漢字であり大作を奨励。三上栖蘭会長の「七言句」を始め、二×八尺の二〜四幅に各体で力を尽くす。小品部や併催の学生展も会場内に上手く配置。 7・30〜8・4 東京都美術館

第87回書教展 会長梶本令峯。社団法人全日本書道教育協会の主催による公募展。教育書道の理念に一貫し、漸進的ながら一年毎の成果を着実に上げており、その持続は意義も高らか。 7・30〜8・4 東京都美術館

第37回官公書展 来年に米寿を控えてなお盛んな川瀬眞洞会長自らも、新機軸の五漢仮抜作「あいうえお…ん」を発表する如く、新制官公は参加団体も32へと増えて若返りを果たし、その意気は更に溌剌たるもの。 8・13〜18 東京都美術館

第42回紫雲書展 大越雪堂氏が80才の停年により名誉会長に勇退。石澤康仲氏が新たに会長に就任し、若き新体制のもと壁面は活気に満ち、漢字各体に仮名等で約280点の出陳。 8・17〜21 新宿/朝日生命ギャラリー

同巧選抜書展 昆逸山会長以下、技量に応じて選ばれた44名が、漢字37点と仮名7点の清新な味わいの佳品を揃え、実にスマートな壁面を展開。 8・18〜24 東京交通会館地下ゴールドサロン

 


 

BACK
 NEXT


すべての著作権は作者に帰属します。
画像データ等は鑑賞を目的とする以外の2次利用を禁止いたします。
企画・制作 美術鑑賞社 藤谷弥道

連絡先 bijutsu@jcom.home.ne.jp


ホームページに戻ります。