関西漢字の一角を代表する由源社。昨年、記念となる一つの区切りを終え、また新たな歩みが始まった。主会場となる3階正面の壁面には、常任委員無鑑査の三×十尺や二×八尺の縦作品と、三×六尺や二×八尺の横作品、及び四×四尺の正方作が、相互して並べられた。特に調和体を前面に出すことで、とかく固くなりがちな漢字の会にあって、その体面を保ちつつ、来場者を迎えるに相応しいソフトなエントランスが形成されている。

その裏面からが本来のメインストリート。尾崎邑鵬会長の「高青邱詩」(=作品写真右上)を中央に、縦の三×十尺や三×八尺の横物等に、辻元邑園(=作品写真左側左「芥川龍之介詩」)、渋谷花径(=作品写真右側下「王恭詩」)、小池英華、勝瀬景流、大友青陵、三岡天邑、石田雲鶴、そして第一位賞に輝いた鈴木錦苑(=作品写真左側右「張羽詩」)らの力作が、ずらりと並ぶ。大字作を含めた対面と併せ、ここだけを見ても、この会の底力の程がうかがえる。
出品は尾崎会長が前述に、二×八尺の調和体作で2点。常任委員無鑑査が87点(調和体43点を含む)。常任委員65点。委員108点。幹事209点。公募285点で計756点。
ともあれ三×十尺を主体とした3階会場は、常任委員の森田青径=文部科学大臣奨励賞、三谷彩陽=財務大臣賞、播磨竹汀=総務大臣賞らをはじめとする、清新かつ堅牢な雰囲気の作品と、幹部陣の重厚な実力作が合わさり、見応えも充分であった。
転じて2階は、委員、監事、及び公募。一部半切もまじえられるが、大方はニ×八尺やニ×六尺に統一されており、足並みも整然と、この会の層の厚さを感じさせる。
また毎回呼び物の特別陳列は、明末清初名品展と、併催の瓦当の珍品。各30点が展示され、1階で催された2000年由源北京選抜書展の260余点と、同時開催の尾崎邑鵬書展での超大作8点を併せ、衆目を集めていた。
(5・25〜27、マイドームおおさか)
顧問六郎田天鈴。理事長小宮山俊。副理事長竹内摩美、大石喜代男、長谷川保枝、水谷桑丘。常任理事長谷川雅司、増川武雄ら4名。理事今井玄花、寺西永次、橋本孜、羽淵尚、原田巧ら11名。
第50回展へ向けての意気込みあり。第一室を飾る横井善子「黄山遊雲」は、文部科学大臣奨励賞に輝く力作であって、奥黄山の人を寄せ付けぬ威容を描き切っている。
第二室の竹内摩美「生の讃歌」(=作品写真左)は、幻想的でベテランならではの見事な作品。内閣総理大臣賞となった神垣秀之「冬の漁村」は、寒風に曝されて物を運ぶ人物が、生きる厳しさを物語る一方、氷雪の岬が春無縁と叫んでいる。阿部喜久代「若葉の頃」=会員秀作賞は、春の訪れを美しく描いているが、空の処理にもう一工夫あっても良い。糸井達男の「追憶」=新美術協会大賞は、枯れたとうもろこしを主題とする心象画、力作である。
第六室、理事長小宮山俊の「山女魚棲む渓」四曲一双のうち、右双(=作品写真右上)は秋の渓流を様式的に、最大限に美しく且つ詩情豊かに描いている。大畑久子の「黎明」=会員佳作賞は、未来への希望、平和と安らぎを、太田洋子の「風に吹かれて」=会員佳作賞は、枯れ尾花をモティーフに、侘び寂びの世界を表現した努力作。
第七室、同じく会員佳作賞となった福田万里子の「星祭り」は、具象の花に鳥、魚と月に海、美しい。第九室の大石喜代男「不穏の序曲」(=作品写真右)は、巨波で恐怖を描いた、同会最高の新美術協会芸術大賞作品である。その他、受賞者多数。 【小島一郎】
(6・1〜10、東京都美術館)
マ 新美術協会のHPはこちらです(主な作品21点を掲載しています)
今回展より、従来の遊墨会を主体とした『現代日墨画協会』が、結成される事となった。展覧会名も『現代遊墨展』から『現代日墨展』へと改称され、出品数は約200点。50号の大作も過去最高となり、また新鮮な初出品の作品も数多く、新組織のスタートとして、相応しいものとなっている。
根岸嘉一郎会長は、壁が折り重なるフランスの小路地を、墨の明暗を活かして、素朴ながら小粋で洒落た風景に仕上げた「エズ村」(=作品写真右上)をはじめ3点を出品。
生嶋紫溟理事長は仏画の「慈愛」と「祈り」で2点。
常任理事では、画面中央から放射状に広がる光が、平和への希望を象徴的に物語る小倉徳之「平和海峡」(=作品写真左上)、及び大西満寿雄、森宏、谷浦輝雄らの各氏が、力量豊かに佳品を揃える。
理事・講師の下平昭子「生きる」(=作品写真右)は、いずこの社の境内か、大樹とそのほこらから顔を覗かせるフクロウ達の生命感ある姿態の対比に、自然観照の温かい眼差しが生きている。同じく川添早苗の「風からの記憶」(=作品写真左)は、自らの心の内にある風景から、近景の岸辺、遠景の山、そしてその間の湖水を渡る風を心象的に捉えた快作。
その他、小村欣也「風」=現代日墨展大賞。同・準大賞の目黒睦「クラウンの悩み」、野口静子「花束」等は、各作、流石に見応えのある出来映えで着目された。
(6・4〜9、王子/北トピア展示ホール)
会長炭山楠峰(=作品写真右「北亭獨宿」)。副会長兼理事長堀田南郷(=作品写真左「眠雲聴泉」)。副会長津村龍堂(=作品写真左下「愚中周及の詩」)。顧問藤井青蘭。副理事長安宅川祟山、岡橋祥悟、北村南濤、村部清巌、安原石楠。
これに続く出品は常任理事、理事、監事(以上審査会員)と、準審査会員の常任理事及び理事、そして委嘱会員、無鑑査会員、一般公募で約300点。
書団神融会は昭和17年の創設。初代会長炭山南木、二代目を津村枕石が引き継ぎ、現在の会長は三代目となり、本年、記念すべき創立60周年を迎えるに至った。この間の長い歴史と先人達の残した伝統を重んじ、継承すべきを使命として、継続する事の価値と意義を、会員一同が充分に踏まえての第47回展である。
いわゆる南木調がベースの、オーソドックスな漢字行草を主体とした会ではあるが、ゼネレーション間のギャップもなく、スムーズに世代交代が成されており、近年は特に若い世代の伸びやかな成長が目につく。これは何より会の気風の良さと、若手育成のための基盤があってのことだが、貴重な存在として、その明るい未来が嘱望される。純粋に書の道を追求する一団として、これからもその動向を見守っていきたい。
(6・4〜9、大阪市立美術館)
プロムナード
総合美術団体の社団法人日展では、昨年に引き続き、今秋の第34回日展(11月2日〜24日・東京都美術館)において、一人でも多くの小中学生に芸術作品に親しんでもらうべく、全国の希望する小中学校を対象に、無料鑑賞券の送付をおこなう事となった。
また今回から、会期中の土曜日(11月9・16・23日)には、日展作家の指導で親子鑑賞教室も開催。校外学習の場としては、各団体の主旨に応じ、日展作家による作品解説も実施される。申し込み方法については以下の通り。
【申込内容】
・学校単位の申し込みに限る。(個人での申し込みはできない)
・希望枚数を送付。
・日展事務局宛にFAXで申込。(専用申込用紙あり)
・無料入場券持参生徒に同伴の保護者は、前売料金(当日千円のところ八百円)にて入場可。
詳細の問い合わせ先は社団法人日展まで。〒113-0022 文京区千駄木3-5-8 TEL 03-3821-0453 FAX 03-3823-0453 日展ホームページURL=http://www.nitten.or.jp/からも申込可。
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