名誉顧問村上三島(=作品「趙亮功詩」)、宮本竹逕、梅舒適、杉岡華邨(=作品「山吹の…」)。常任顧問古谷蒼韻、今井凌雪、尾崎邑鵬、高木聖鶴、榎倉香邨、甫田鵄川。理事長栗原蘆水(=作品写真右上「花好月明人壽…」)。副理事長日比野光鳳(=作品写真左側「何處ニ閑…」)、杭迫柏樹(=作品「臥月眠雲」)、井茂圭洞(=作品「いつくよ利…」)、劉蒼居(=作品写真右下「一酌地上酒…」)。栗原理事長以下の新体制になって2年目の同展は、社団法人日本書芸院と、読売新聞社の共催で、会場も広々とした場所に移して催された。
恐らくは日本最大の団体と言えるであろう同院の、評議員以上の役員247名による、一大展観の華やかな幕開けである。関西のみならず、日本を代表する作家を擁しての会だけに、内容の高度さ、多彩さ、充実の度合い等々、どれをとっても、うならせるものばかり。故に己を高め、研鑽を積む環境としても、流石に申し分がない。作品も大型化し、漢字各体に仮名、調和体、篆刻と、各様の作品が、壁面に適度な間隔をもって陳列され、見応えも充分であった。
今回の特別展観は『日本の歴史を彩った女性の書』。天平時代から江戸末期迄を『雅の世界』、『戦国の華』、『近世の女性』の三コーナーに分け、全131点を展示。今話題の《まつ》や《おね》の消息などもあり、これ迄に無い貴重な企画とあって、来場者の関心を高めていた。
(5・8〜12、大阪国際会議場イベントホール)
この会は関西には珍しい、在野系を貫く団体である。最大の特徴は何といっても、己の書を自分自身で楽しみつつ、独自に追求している点にあろう。作品の多彩さが、それを雄弁に物語る。
無論、ベースは臨書でしっかり押さえられており、企画と併せて創作に果敢に挑んでいる。出品は役員の部が33点、一般公募の部が30点、これに企画の臨書作『日本の書仮名・奈良・平安時代』46点が加わり、全109点。
野上田陽山会長は、何紹基の「七言対句」(=作品写真右上)を、三×五尺の五幅に展開。潤渇自在に、妙味ある書に仕立てた。四宮岳翠副会長は、大画仙の四×七尺三幅に「抱朴・中孚・守拙」(=作品写真左上)を、各二字ずつの六字書。ゆったりとした曲線で、動的な広がりを見せる。心境を重ねた印文と併せ、人を包み込むような書となっている。
野上田幸苑は三×八尺の二幅に、筆力鋭くスピード感ある「鶯花浪示春聲色」(=作品写真右側)。堀田翠汀は、半切軸に「無事是貴人」の一行。落ちつきがあり、自然体の平静なる心を映す。山下翠扇(=作品「一酔陶然天地小」)は、小画仙一枚半で二幅。墨量豊かに、天地の伸びと終筆のバランスも良い。丸川幽香(=作品「風にのる智恵子」)と中塚桐華(=作品「万葉歌ニ首」)は、共に部分での掲載となったが、前者は調和体での心情の表現に、後者は万葉の世界を現代へと導くセンスに、各々閃きを感じた。
(5・8〜12、大阪市立美術館)
1956年の日本画府結成以来、実質的『主』であり、顔であった児玉三鈴理事長、及び1966年の青龍社解散に伴い参加し、その片腕となった鶴田熙副理事長亡き後の日本画部は、廣島樹部長が支えている。三鈴氏の遺作「離江雨意」は、二曲一双の大作であり、彼が精神的安らぎに達したことを示す。熙氏の遺作「翠越」は小品であるが、力量なしでは描けない作品であり、人柄を偲ばせる。お二人のご冥福を心かりお祈りする。
先ずは日本画部より、廣島樹の「むすめ」(=作品写真右上)は、120号の画面いっぱいに、大胆な肢体を惜しげもなくさらし、強烈なインパクトを与える意欲作である。日府賞となった平野義雄の「雨上(アメアガリ)」は、150号の大画面に、萼あじさいを丁寧に描き込んだ努力作。また森田緑の「トレド黄昏」には、構図、色調ともに興味を引かれた。
洋画部長である樋渡涓二の「屋根の構図」は、黒輪郭線で縁取られたイラスト的対象が、不思議にバランス良く落ち着いている。小室禮子が描く「スターバースト」(=作品写真左)は、美しいブルーを基調として、母性愛を見事に表現した、精神性の高い秀作と言えよう。
彫塑では、部長の南部祥雲や、小田章二など。工芸では、新たに理事長に就任した、陶芸の渡辺六郎をはじめ、部長の児玉陶欧(=作品写真右側下「湧」)、及び青木九仁博「陽春」等が、各作に持てる力を存分に発揮。また染色の岩澤実千代「脈」は、前衛的で無駄がない秀作。 【小島一郎】
(5・8〜19、東京都美術館)
→ 社団法人日本画府のHPはこちら(主な作品21点を展示しています)
会期を控えたこの4月7日、既に3名となった創立会員の一人、羽藤淑子氏が逝去された。享年77才。先ずはそのご冥福を心からお祈りしたい。
代表羽藤恒郎(=作品写真右「椅子に座せる裸婦」)、副代表羽藤朔郎(=作品写真左「宝飾家の肖像」)を中核に、伝統と若い行動力が魅力の会であり、第1室から第15室までに、440点の出品作が並ぶ。昨年、70回という節目を越えたが、ゼネレーション間のギャップも全く見られず、人物、静物、風景と、好個のモティーフに、各自が全力を尽くしている。
招待出品の面々も、良き刺激となっているようだ。会場を通覧すれば、殊に新時代をリードしていくべき世代が、実に順調な伸びを見せており、ベテラン勢と共に、一丸となって『ニュー立体派運動』を、着実かつ真面目に貫き通している。
主な受賞者。朔日会賞=大山博子(=作品「ガウチョの食卓」)。文部科学大臣奨励賞=白石延夫(=作品「陽光」)。東京都知事賞=大沢晄子。台東区長賞=仁瓶靖之。他、各賞多数。
(5・9〜19、東京都美術館)
会長杉岡華邨。副会長赤江華城(=作品写真右中「夏の夜」)、楢崎華祥(=作品写真左下「愛」)、前島泉洲(=作品写真左下「秋のあはれ」)、高木厚人(=作品「夕靄」)、山本高邨(=作品「誠」)、佐伯華水。常任理事池田紀泉、伊藤青邨、襟立玉英、小川雪邨、島岡弘子、杉山玉翠、羽根光照、廣部翠鳳。出品は以上の幹部役員に、金丸華心、西野昭光、杉浦華桂、今仲康男、岡本小径、津田喜祥ら理事71名。見事ヌーベル賞に輝いた中林翠精ら評議員89名。準同人289名、会員106名、公募141名で、全722点。

一昨年より、手狭になった一階から二階へと主会場を移したが、今年もその約三分の一を、理事以上による特別展示室としている。これは三つのブースから成り、二ヶ所に床の間がしつらわれ、各々の中央には、高貴な淡い紫の料紙に書かれた昭和天皇御製の「ほとけのをしへ」(=作品写真右上)の軸装作と、万葉集より柿本人麿の歌を、スマートに纏めて現代感覚にマッチさせた、額装の「黒髪山」(=作品写真左上)の会長作2点が収められた。
その伝統に相応しく、今年の会場は、全般に和風の木を基調とし、しっとりと落ち着いたものとなっている。この主会場から続く評議員以下の展示室も、広々として心地良い鑑賞空間が確保されており、作品も一層の引き立ちを見せていた。
会長自らが二作に対比をみせる如く、メインとなる各ブースの作品も、シンメトリーな構成の中に各々を対比させ、見応えをより増している。
古都の奈良に本拠を置く臨池会だが、かなの現代展開に賭ける意気込みと、その前進性という点では、流石に第一線を行くようである。各一作に内包された書表現の無限性に、この会の神髄を見た思いがした。陳列にも細やかな配慮が行き届いており、見事な出来映えは、流石と思われた。
(5・18〜19、マイドームおおさか1・2階)
官展では期待し獲ない作家精神の自由確立を旗印として、一九三七年以来やしなってきた日本画家の魂を、確実に受け継いでいる作品の存在は、まことに喜ばしい。伝統をしっかりと学んだ上の自己表現が、会の彩りと特長を醸し出す。
日展、院展、新興展はいずれも社団法人の展覧会である。内容、規模が全く異なるとは言え、新興展の作品の中には、前二者の出品作品に、遜色のない作品も多い。
平田春潮理事長「神楽(羯鼓と神禰宣)」(=作品写真右上)は、塗残し描法の雲で、神話の世界を見事に表現。常任理事で事務局長の飛田啓之介「ひかり(1)」(=作品写真左上)は、悠然と泳ぐ鯉の上の氷草が幻想的。同じく常任理事から大槻悦康「明日香幻映・日象」(=作品写真右下)は、1400年前に想いを馳せるロマン溢れる優秀作。
小林恒岳の「萌える頃」(=作品写真左下)は、二曲一双の大作でだが、自然観照の確かな眼が、画面の細部まで実に良く行き届いている。御田勝平の「最上川(高畠町)」は、冬の置賜地方の寒さが犇々と伝わる力作で、遠景の山並み、近景の木立やブッシュなども良い。
新興美術院賞に輝いた理事の矢澤光子「ホームパーティ 独立記念祭S.F.」は、人物描写を雰囲気が補った傑作である。監事山下昇「冬池」は、近景の凍てついた雪と遠景は良いが、水鳥は一考を要す。他、主な受賞者は文部科学大臣奨励賞=佐藤良枝。東京都知事賞=大久保徹哉。会員努力賞=安達好文、川原善次郎、稲越泉美ら5名。等々。 【小島一郎】
(5・22〜29、東京都美術館)
→ 社団法人新興美術院のHPはこちら(主な作品21点を展示しています)
画壇本流の一角を成していた槐樹社の解散に伴い、東光会と旺玄社に別れて、1933年に発足した後、敗戦の廃虚の中の1946年に旺玄会として再興し、今日に至った。
然るに本展を開くことが出来なかったのが、空爆に曝され、敗戦となった一年だけであったという、輝かしい歴史に応えられる作品を、毎年発表しなければならない重圧が、幹部の諸氏にのしかかっている。
米寿を迎えた野老山作太郎は、手抜きのない作品「残照」を堂々と発表している。範とすべきであろう。80歳の遠井正夫も「日曜画家の室内」と「旧近衛師団司令部」の二点を発表。いずれも秀作である。
代表を務める臼井春夫の「山路」(=作品写真右上)は、美しい風景画だが、めりはりという点では、今一歩の踏み込みが欲しいところか。勝俣睦の「湿原(ノハナショーブ)」(=作品写真左上)は、二作で一連の風景を描き、雨の湿原の雰囲気を出すことに成功しているが、緻密な池塘の近景に対し、遠景の山の描き方が、ともすれば安易に見られがちな点だけは惜しまれる。
吉尾芳郎の「'02ーカンダハル」(=作品写真右側下)は、アフガンの苦悩を八人の人物により表現。甲斐典士の「動く円」(=作品写真左側下)は、見る者に問いかけることの多い、哲学的作品。安田火災美術財団奨励賞となった杉田英雄の「Cityー築ー」は、都会の無秩序を爽やかに芸術的に描き、好感が寄せられた。 【小島一郎】
(5・22〜29、東京都美術館)
→ 旺玄会のホームページはこちら(主な作品21点を展示しています)
春の到来と共に、上野の東京都美術館は、絵画のシーズンを迎える。
今回、巻頭を飾っていただいた文化勲章授章者で文化功労者、日本芸術院会員の森田茂氏(=作品写真右「深山三明」)を会長とする、第68回東光会展や掲載とした各団体は、紙面の関係上割愛となったものもあるが、日展系や在野を問わず、それらの代表的なものである。
6月下旬からは、書のシーズン。この号がでる頃には、上野の杜も書一辺倒となっていることだろう。7月の毎日書道展や、8月の読売書法展を中核とし、諸団体や各社中の本展が、8月中旬まで目白押しに続く。
こうした一年のスケジュールは切れ間がなく、小紙の編集も追われ通しで、月日が過ぎ去るのは正に光陰矢の如し。だがこれは、作家のほうも同様だろう。やはり昔は、良き時代だったのか。
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