会長炭山楠峰(=作品写真左)。副会長堀田南郷(理事長=作品写真中)、津村龍堂(=作品写真右)。顧問藤井青蘭。副理事長安宅川崇山、岡橋祥悟、北村南濤、村部清巌、安原石楠。常任理事池田薫園、小山翠苑、土橋翠鳳(以上南木賞)ら24名。理事池田大樹、岩崎椒蘭、武田鴻祥、畑心鉦(以上南木賞)ら33名。監事上辻南叢、中村希峰、その他59名による審査会員、準審査会員69名、依嘱会員42名、無鑑査会員25名等の機構の中で、真摯な研鑽の持続から、引き締まった作風で統一された会場は、やはり流石と思われた。
二×八尺をメインに三×六尺を交え、大方は骨格逞しい漢字の伝統書の流れの中にあり、調和体は散見される程度。伝統ある同会だが、ことに最近は40才代の台頭が目立ち、世代は第二期に移ろうとしている。
質の向上に重きをおいて、一丸となっての前進体制に、明日への明確な方向を期し、益々の奮起を望みたいと思う。
(6・5〜10、大阪市立美術館)
専らかなの世界だが、洗練された線質に閃く個性も散見された。かなは平安期において、すでに高度な完成を迎えた長い伝統を持つだけに、現代の広い会場で、これをどう活かし切るかに問題があり、大字かな作品に切り替えた作家も多いが、いずれにしても現代は、現代の新手法を開発するのが先決といえよう。
中国古典の研究は勿論のこと、平安を中心とする古筆の研鑽につとめ、それを原点として古典的香気ある作品の創造、表出に向け努力を続ける同会。本年も高木聖鶴会長(=作品写真右上「鮎は瀬に棲み…」)以下、副会長法元康州(=作品写真左「五月来ぬ…」、林春月、井上玲玉、理事長勝瀬景流(=作品写真右下「素直と感謝のこころは…」)、副理事長村上鵬雲、森川星葉ら役員は、かな作品と共に、親しみの書として、漢字の学書を活かした調和体も出品。金銀砂子も美しい料紙二巻に流麗に展開された、会長作の古今和歌集抄は流石に圧巻だが、掲載はその効果を優先して選ばせて頂いた。
他の出品各作にも、あくまでベースとなる古典の香りがうかがえ、ひたむきで真面目な精進の日々が思われた。陳列も作品本位で、爽やかに親睦の実績を上げている。
かなと言えば奈良や京都、そして神戸など関西が主流だが、岡山もまたその一つの発信地であることを再認した次第。
(6・12〜17、岡山県総合文化センター)
規模は小さいが志は高く、東京のど真ん中・銀座に於いて、自主独立の精神のもと、牙城を護り抜いてきた隆美会展も、早いもので14回を迎えるに至った。
権謀術数渦巻く美術界にあって、清らかに咲く野の花の如く、稚拙と言わば言え、吾はただ我が道を歩むのみ。鶏頭となるも牛尾とならずの信念の先達、飯野隆は、1945年に63才で没した故小泉勝爾に師事し、東京美術学校(現東京芸大)で日本画を学んだ鬼才である。今回発表の「念」(=写真右上)は、眼前に迫る山と樹林の命を描き力作である。
二瓶眞理子の作品「夢悠」(=写真左上)は、45億年のこの地球に人類が誕生し、文明が栄えまた滅び、人々の夢と営みが静かに眠る悠久の大地を、幻想的に描いた優秀作。松本昭子はこれまでの油絵に変え、今回は膠絵に挑戦した。「シダの森」は日本画的ではないが、「澄む」(=写真右)と同様に良い作品と思う。
小川黎子「上野公園」は丁寧な努力賞的作品。金杉倭文子の「沈思」もまた可。小林よね子の作品「夢館」は、雲のような装飾で囲んだ建物に夢があり、メルヘンチックで楽しく、狩野美佐子の「夢」や「若鮎」、岡田秀子の「春眠氈E」や「慶日」も佳品として印象に残る。【小島一郎】
(6・12〜17、銀座タカゲン画廊)
75年前の1926年5月、世は正にロマンに満ちた大正が終わり、大不況の奈落に雪崩込む気配も無く、時代が昭和に変わるその時、斉藤素巌、日名子實三の二人により構造社として産声をあげた。
その後、1936年に新構造社と名を変えるが、この間、激しく分裂と融合を繰り返し、今は安定期にあって本年第73回新構造展を、めでたく迎えるに至った。
各自がなにものにも縛られることなく、自由に芸術活動を行うことに、目的を置く新構造展であるが、
何か迫力に乏しいと感じたことは残念である。大作が風呂屋の絵にならないことを切に望みたい。時間が無かったからでは通らない世界にいることを、肝に銘じなければなるまい。
構造社創立と全く同じ年、同じ月に生まれた筆者は、今は亡き本目勇市先生のお元気な頃、時々お話する機会があった。「見る人に感動を与えなければおしまいだ」とのお声が耳に残っている。しかし絵画部一般会員、準会員に印象に残る秀作が多く、また、工芸、彫塑、写真の各部門にも、将来が楽しみな作品が多い。層が厚い筈の新構造展だ。在野の雄であれかしと祈る。【小島一郎】
(6・1〜10、東京都美術館、作品写真右上「富士暮色」代表・清浦正風、左上「祭り」運営委員・古川泰司、右下「石畳」運営委員・小田津也二)
長らく第一線で会を率いてきた田中凍雲前会長の勇退に伴い、中村雲龍氏(=作品写真左)が新たに会長となり、副会長には高橋静豪(=作品写真中)、田中竹園(=作品写真右)の二氏。監事だった土田水蓮、遠山白雲、山田白苑の三氏が理事陣に加わり、第50回の記念展は、会の中枢部にゼネレーションの交代を果たしての開催となった。
50回までは大過なくとの配慮から、特陳はメインフロアの陳列ケースに回数に因んだ、古印材約50個の展示のみ。しかしながら実に貴重な逸品の数々に、大方の関心を高めて好評。会場は静韻な雰囲気ながら、実際は探究意欲の極めて活発な情熱的作品が出揃い、壁面には新鮮な開拓精神が張っている。これからへの期待は、いやが上にも高まる一方であった。
主な受賞者は、50周年記念名誉会長賞=西出白鳳。同・会長賞=吉田清翠、川崎荷香、神谷京子、有馬恵山。同・特別大賞=大澤京華ら6名。
(6・24〜29、東京都美術館)
社団法人大日本書芸院(理事長阿部竹翠=作品写真左)の第62回展には、流石に独自な開発に賭けてきた、実に手堅い主張が一貫されており、全く独歩独往の気概に溢れ、同志の結束もまことに見事である。
漢字、仮名、近代詩、前衛(墨象)、水墨画の五部門で、出品者総数は二九八八名(点)、陳列は一五七六名(点)を数える。国際文化交流にも力を注いでおり、今年は台湾より923点、中国より322点の応募があった。
全員が一丸となって、新天地の開拓に全力を挙げており、中堅から新鋭にかけての活発な未知への挑戦が実に勇ましい。視る書の、即ち現代展開にひとつの方向を提示している。新旧の断層は全然皆無で、会場の雰囲気も和やかなもの。
主な受賞者は、内閣総理大臣賞=反田翠暁(=作品写真中)。文部科学大臣奨励賞=辻陽谷(=作品写真右)。第23回北村西望賞=本橋晨竹。大賞=村山翠庭。他、各賞多数。
(6・24〜29、東京都美術館)
今年の一月、中山竹経前会長の逝去により、鈴木静村副会長が会長に就任。参与池田群竹(理事長)ら6名、常任理事鮎川静竹、飯原青洲ら5名と体制を整えての53回展となった。
出品は第22室までに412名。全紙二枚つぎの大作も目につくが、会の努力によって、二段掛けを一切排した会場は、漢字、仮名、詩文書と多彩な内容。ゆったりとした陳列から、各作じっくりと対話が楽しめる。
10年くらい前までは仮名が三分の二を占めていたが、今は半数以上が漢字作となっており、出品作は中軸、新鋭の活気溢れる受賞作品をはじめとし、その内容も大きく革新方向に入っている。漢字と仮名の二本立てによる均衡も、なお良く保たれており、数こそ減ったものの、特に竹堂直系のかな作品には本格的なものが多く、地道な精進による閨秀の活躍に、注目されるものがあった。
(6・24〜29、東京都美術館)
故・長谷川耕南の衣鉢を継ぐ同院は、生え抜きに実力者が揃っており、陣容の整備もすっかり安定して、新人の発掘やその育成に熱意を示す。
入賞者はもとより、活気旺盛、ことに中堅たる監査員の健闘が光っており、今後への展望を明るいものにしている。
漢字部を主体に、第5室の仮名部、第8室の文人画部を併せ、一般が646点、学生部443点の出陳。
メインとなる第6室には、長谷川耕生会長の篆書作「自在江山」(=写真右上)をはじめとし、中條耕峯、浜田桂花、須藤玉誠(=作品写真左「黄山」)、井上耕蓮=文部科学大臣奨励賞らの、類型化を排した全紙二枚つぎの作品がずらりと並ぶ。他の審査員らも同サイズの大作に、意欲的な展開を成し、ここより一般へと連なる壁面は、より充実度を増して手応えも一入であった。
他の主な受賞者は、耕南賞=萩須耕陽。会長賞=稲葉耕泉。特別賞=村田閑洲、山口華峯。東京都知事賞=田口楓雪。
(6・24〜29、東京都美術館)
第17回瑤樹会書展 《予告》
樹 岡村翠瑤 |
林 影山瑤琴 |
八月下旬の前哨戦から第一陣の院展、二科、行動と、上野の杜は秋の絵画シーズンに入る。街頭画廊では、季節による棲み分けもなく、社中展や個展には、特有の味わいで楽しめるものが多い。
産経国際書会理事の岡村翠瑤氏が主宰する瑤樹会もそんな社中展の一つで、この10月11日から14日まで、東武東上線志木駅東口のマルイファミリー志木8階にある、フォーシーズンズ志木ふれあいプラザで、第17回展が開催される。
伝統書はもとより、若々しく瑞々しい感性を活かした、多彩な作品が身上の同会だが、中央でも溌剌とした活躍を見せており、先の5月の第17回産経書のアート展では、影山瑤琴さんが、ハケ・棒・銅板を使った創作作品で、審査会員グランプリを獲得している(作品写真右上)。
今回は書・書のアートと花・陶作品で会場全体をひとつの空間として作り上げ、書にかかわりのない人達にもゆったりと楽しんでもらえる書展をと目指している。また次代を担う子供達に日本の文化を継承し、日本人としての誇りをもって欲しいという願いをこめて、小・中学生による古代文字の作品も展示される。
美術の秋。ひとときをそんな空間の中に身をひたすのも、また一興だろう。
プロムナード・書画短信
◇第28回玄和書道会選抜春墨展 今年五月に七回忌を迎えた明石春浦ゆかりの会。若き代表明石春翔を中心に、世代も交代を果たしつつあり、それが魅力の一つとなっている。期待を持って見て行きたい。5・22〜27 東京銀座画廊・美術館8F
◇第34回白鳳書展 主宰二宮珠鳳。今年はテーマ「花鳥風月」最後の年。よって「月」に因んだ大作から小品迄の各作に、各々自由な創意を凝らしており好評。 5・23〜27 茅ヶ崎市民文化会館
◇第26回書道玄海社選抜展 会長三上栖蘭以下36名による恒例展。小品ながらキャリアに相応しき佳品を揃えて。 5・29〜6・3 銀座鳩居堂3F
◇第6回寒鴎画賛渡邊静湖南画展 隔年ペースの開催で十年が経過。地元富士吉田の富士山、武陵源、竹、花鳥等、誠意を込めた26点で。 5・29〜6・3 銀座鳩居堂4F
◇第12回一線美術会選抜展 前回の本展での受賞者を中心に、出品26名が50号に統一した新作を発表。いずれも本格的で見応え充分。来年は北海道での開催。順次全国を回る予定。 6・7〜13銀座ギャラリーマキシム
◇宇留野清華生誕90年第30回記念書玄社現代書展 先師宇留野清華の13回忌、また生誕90年を迎え遺コーナーに13点を展示。出品99名は持てる力を尽くした書作で清新さ一入。 6・7〜12 銀座松坂屋カトレヤサロン
◇香坡の世界より 二×六尺の「清平調詞」以外は、半切までの手頃な鑑賞作品で全38点の出品。銀紙に墨で書いた魚拓風のアート感覚豊かな作品や、俳画的作品もあり多彩。 6・7〜12 横浜桜木町ギャラリー守玄齋
◇第16回21世紀国際書展 主催産経新聞社、21世紀国際書会。21世紀を展望し、書道芸術の発展と国際文化交流の促進を目的とし、流派・会派を問わず広く門戸を開放。作品の向上が、会場に明るさをもたらしている。特別大賞の審査会員グランプリには、松永光鳳氏が輝いた。 6・28〜7・3 横浜市民ギャラリー及びギャラリーヨコハマ
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