会長杉岡華邨(=作品写真右「山吹」、左下「白鷺」)。副会長赤江華城、楢崎華祥、山本高邨、高木厚人、前島泉洲=兼事務局長。常任理事羽根光照=事務局次長、池田紀泉、伊藤青邨、襟立玉英、小川雪邨、佐伯華水、島岡弘子、杉山玉翠、廣部翠鳳。出品は以上に理事、評議員、準同人、会員、公募で約750点。栄えあるヌーベル賞は加藤泰玉に決定した。
昨秋、文化勲章の栄誉に輝いた杉岡華邨氏を会長にいただく同会。一段と磨きがかかったと同時に、手綱を締め直しての第32回展には、真面目な取組の中から紡ぎだされる線質が、巧みな仮名の美を形造って、新たな世紀での更なる飛躍を感じさせる作品が出揃った。
臨池会風の書に偏ることを避け、それぞれの独自性を考えながら、練成を続ける十のグループの頑張りも見逃せない。厳しい精進と、その過程における人間性の深さと努力が、その屋台骨を支えている。コンピューターを駆使しての会場作りや壁面の割当てなど、会としての在り方にも将来性が窺え、見る側にも力の入る展観となっている。
手狭となった一階から二階へとメインを移し、会場は壁面色によって区切られている。同人の直門からなる紫の三ブースには、会長作を収めた床の間も設けられ、孫弟子が緑で二ブース。毎年デザインを変えて雰囲気を出す。これに続く準同人以下は従来通りだが、前者にスペースをとられ、やや窮屈な感が持たれた点だけは惜しまれた。
(5・19〜20、マイド−ムおおさか)
槙社文会は、故・青山杉雨門下が年一回、各々の書作の表現を確認しあい、書作を通じて、その主張を闘わす目的から、師の没後、実行された企画である。今年も前年度槙社文会賞受賞者、廣畑筑州(六副)、松原秀仙(四副)の大作をロビー正面に据え、青山杉雨の遺作3点を特別展観。
出品は、成瀬映山「李商隠詩・柳」(=作品写真右上・部分)、梅原清山「霊光」、稲垣菘圃「人は希望的動物なり…」の各作をはじめ東山一郎、種村山童、樽本樹邨、高木聖雨、佐川倩崖=槙社文会名誉会長賞(=作品写真左)、有岡郊崖らで447名。三×八尺、五尺正方、四×六尺などを筆頭に半切まで。屈指の門下なら当然のことながら、各個の水準は極めて高く、第八回展にしてその方向も、調和体や仮名などに、広がりを見せている。三回目となる特別企画の中国書画名品展と併せ、第一級の玄人好みの展観と言えよう。
(5・22〜27、池袋/サンシャインシティ文化会館2F)
正面中央に顧問宮本竹逕の小野好古朝臣二句による屏風作(=作品写真右「くらゐやま…」)。その両脇を会長高橋久子と理事長黒野清宇(=作品写真左「いく山河…」)が、同じく屏風作でしっかりと固める。これに副理事長讃岐泰泉、富岡凌雲、参与座馬井邨、田島方外、常務理事奥田育子、大河内暁水、後藤秀園、西迫翠峰、渡邉笙鶴、理事葛輪啓子ら5名、監事清水蒼洋ら2名、正会員青木清仙ら74名が、額、軸、巻子、帖などで続き、精彩を醸しだす。全93名による華麗な競演は、本来の質をより高める効果を上げて、有意義なものとなっている。
サロン芸術としての仮名を、現代に展開する使命を担い、存分に書き込んで引き締まった書線を駆使し、新世紀における仮名の神髄を、遺憾なく繰り広げ、連日の盛況であった。顧問宮本竹逕の健在は何よりであり、会長以下、申し分のない力が寄り集まって、新生かな書展の絶大なる支柱を形成している事実が、何よりも頼もしく、また喜ばしい限りである。
(5・23〜28、東京日本橋高島屋8Fギャラリ−)
関西を拠点としつつ、我が国漢字書壇の一角を担う由源社の、記念すべき第25回全国書道展。
メインとなる3階会場は、正面中央に設えられた壁面に、尾崎邑鵬会長の調和体作「岡田吉弘氏の語」(=作品写真右)をはじめ、常任委員無鑑査による三×十尺の力感溢れる漢字大作と創意自在な調和体作が、充分な引きをもって陳列され、来場者を迎える。その裏には会長の三×十尺「王漁洋詩」(=作品写真左)から、前述同様の力作が目白押しに並び、同会幹部の実力を遺憾なく披瀝。表裏一体となっての壁面構成の心配りは、ここだけでも存分な見応えをもち、鑑者を魅了する。
今回の出品は尾崎会長作2点をはじめとし、常任委員無鑑査81点(調和体40点を含む)、常任委員57点、委員115点、幹事222点、これに公募355点が加わり、全832点。ともあれ三×十尺を主体とした3階会場は、各作品の内容の高度さと相まって、正に壮観の一言。転じて2階は幹事と公募。二×八尺、三×六尺に、一部半切を含めた作品が整然と並び、この会の底力というものが偲ばれた。
毎回呼び物の特別陳列は中国名家四屏展。呉昌硯、何紹基、趙之謙、呉煕載など16点が並び、陳列ケースに併催の蒋仁、査昇尺牘と共に、広く関心を高めていた。
主な受賞者は第一位賞=澤井夏翠。文部科学大臣奨賞=鎌田翠珪。財務大臣賞=蒔田芙蓉。総理大臣賞=田村栴翠。奥野誠亮顧問賞=澁谷青龍。森岡正宏顧問賞=播磨竹汀。他、各賞多数。
(5・26〜28、マイド−ムおおさか2・3階)
1959年に鈴木翠軒を顧問とし、平尾孤往、阿部鉄蕉等により回瀾会から分かれ旗揚げした太玄会は、翌60年に第一回展を開催してより42回の本展を既に終え、5年後から開催されるようになった役員書展も37回展となった。
理事長の植木九仙は、回瀾会の中心人物であった恩師津金寉仙の意を受け、太玄会第一回展に出品。そのまま審査員に推挙されて、今日の太玄会を育てた立役者の一人である。今役員展は会長福田丞洲以下190名が出品。構成16団体の長を含む、いずれ劣らぬ雄者が競いあう、迫力ある展覧会となった。
常任顧問運営委員で元会長の浅見錦龍、同・鈴木景堂、常任顧問運営委員の梅原清山は、それぞれ責任を果している。
現会長の福田丞洲(=作品写真右上「軽燕受風斜」)、副会長田中鳳柳(=作品写真右「幽人貞吉」)、理事長植木九仙(=作品写真左上「張均詩」)、副理事長宇津木雀聲、同・藤波曽川、同・新藤香懸、同・梶野暁涙等、いずれも会の牽引者として、ご苦労も多いこととは思うが、東日本統合の最大組織とすべく、一層のご努力あることを願って止まない。役員展である以上、その会の全貌を天下に誇示するものとして心すべきである。【小島一郎】
(5・31〜6・5、新宿朝日生命ギャラリー)
1954年3月28日、今は亡き田所量司方に事務所を設けて発足。早くも同年5月には、大阪市立美術館に於いて第一回展を開催した新美術協会は、第2、3回展を大阪で、その後1960年の第7回展までは神戸に活動の中心をおき、1961年の第8回展で遂に念願の東京都美術館に於ける展覧会となった。
その後40年を経た本年新美術協会展は、第48回展を迎えるに至った。今や三部門、即ち絵画、彫刻、写真併せて400名を擁する大会派に成長した。
米寿を迎えた六郎田天鈴は、さすがに貫祿失せず格調高く「漢武帝の雄図パミ−ルを越えて」を発表。理事長を務める小宮山俊の「華宴(胡蝶曼陀羅) 四曲右双」(=写真右上)は、群生する菖蒲の上を薄日を背景に蝶が乱舞するさまを描いて命への讃歌としたとの力作。副理事長竹内摩美の「回帰」(=写真左側)には、実力と強い意思を感じる。同・大石喜代男の「天地の奮迅」(=写真右側)は、水の処理に何とも言えぬ情念を籠める。
内閣総理大臣賞に輝いた鈴木夏江の「集落(気配)」は、人気を画面の奥に秘めた秀作品。加知満の「鎮守」=文部科学大臣奨励賞は、誠実で精根一入の細密画。山崎富佐子の「光彩」は、構図に迫力はあるものの、発色にやや難点は惜しい。阿部喜久代「春望」=会員秀作賞、及び福田万里子「遍照」=会員佳作賞は、共にその努力の程を買いたい。【小島一郎】
(6・12〜22、東京都美術館)
→ 新美術協会のHPはこちら(主な作品21点を展示しています)
代表山近剛(=作品写真右「松韻鉢」)のもとに、洋画部部長中原正倫、日本画部部長酒井邦夫、染色画部部長津村耕村、彫刻部部長・佐々木良介ら各運営委員が結束して、新しい創造美術会の道を歩み始めた。新世紀にふさわしい会の在り方が、問われねばなるまい。期待したい。
創造美術会賞は、染織画「晩秋二題(金漆)」(=写真左側)の津田耕村に決定。染織の伝統的技法を生かした新鮮な感覚。
文部科学大臣奨励賞の在原忠「JIZOU」(=写真右側)は、人間味あふれる石仏表現。東京都知事賞となった辻實「漁港A」。爽やかな描写の技量。安田火災美術財団奨励賞、波澄忠行「壊れゆくもの」。現代を見つめるイメ−ジ世界。北華賞、福田良則「大鉢・華薫る頃」。花紋様に華やぎを醸成する陶芸作品。
受賞作品で注目した作家。中島規雄、野田明、小寺旭峰、佐々木巧、三宅基之、中村辰治、小原通知、斉藤義政(以上会員賞)、西益子、川崎外茂子(準会員賞)、山中貞子、尾崎マサノリ(会友賞)、金子秀子、井上三枝子、倉田満子、新川敦子、野中純子、島越友江(新人賞)等。【佃 堅輔】
(6・1〜10、東京都美術館)
昨年の第15回記念展に比べれば、出品数こそ少し減ったものの、50号の大作も増え、内容は一段と拡充し、手応えのある作品が増えている。主題の選択から、その描法におけるオリジナリティーの豊かさに、何よりこの会の風通しの良さと、未知の鉱脈の如き、秘めたる可能性が感じられた。
主宰の根岸嘉一郎「幻花」「薔薇」(=写真右上)を頂点に、役員や審査員の各作は、流石にその力量を存分に活かして着目されたが、今回は受賞者を中心に掲載させていただいた。
現代遊墨展大賞の高木博司「瀑布」(=写真左)は、水の流動を迫真をもって描く。準大賞の清水千恵子「祝の讃歌」は、花瓶のオブジェを抽象的に増幅し、柚本計悟「波の詩」=準大賞は、岩礁に砕ける波濤を見事に捉えた。北区長賞の佐々木寿美子「歳月のきざみB」は、大木の窪みと外皮に豊かなスケールを感じさせ、冨岡祐治「逞しく生きる」=北区議会議長賞は、剥きだされた樹根に生命力の根源を表出した。北区教育委員会賞の高田明正「朝日」は、順次当たってゆく陽に街の目覚めと一日の始まりを示唆し、目黒睦「兵馬涌憂國」=北区文化振興財団賞は、巧みな筆致で古代へのロマンを誘う。他各賞多数。
(5・29〜6・3、王子/北とぴあ展示ホール)
プロムナード
総合美術団体の社団法人日展では、21世紀初の開催となる今秋の第33回日展(11月2日〜24日・東京都美術館)において一人でも多くの小中学生に芸術作品に親しんでもらうべく、全国の希望する小中学校を対象に、無料入場券の送付を実施することとなった。
これは、思考力・創造力を育む総合的な学習活動の一環として、また来年度から実施される完全学校週5日制の下での、休日を利用した体験学習として、美術鑑賞の機会作りを目的に企画されたもので、申込内容は以下の通りとなっている。
【申込内容】
・学校単位の申し込みに限る。(個人での申し込みはできない)
・希望枚数を送付。
・日展事務局宛にFAXで申込。(専用申込用紙あり)
・無料入場券持参生徒に同伴の保護者は、前売料金(当日千円のところ八百円)にて入場可。
詳細に関しては社団法人日展まで。〒113-0022 東京都文京区千駄木3-8-5 TEL 03-3821-0453 FAX 03-3823-0453 E-mail=office@nitten.or.jp URL=http://www.nitten.or.jp
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