斉藤香坡会長(作品写真左)の率いる國藝書道院展も、創立25周年を迎え、会期に先立つ2月25日、その記念式典祝賀会が、300名からの出席者により、新横浜プリンスホテルで、盛会のうちに執り行われた。
今回の出品は約220点。これ迄は二×八尺を第一部、半切を第二部としてきたが、四半世紀の区切りとなる今回展からは、会長以下、審査会員、無鑑査、会員、一般と機構の再整備が成された。
出品作は二×八尺が主体。本来は全作品をこれに統一したかったが、今回は間に合わなかったとの事。記念展に際し、じっくりと書き込まれた各作は、陳列もゆったりと余裕を持ち、壁面はその年輪に相応しく、充実度を確実に上げている。
今までは育てる時間。これからは自分の作品づくりを重点とし、後二年で作品の層に、妥協無きところまでもっていきたい、と斉藤会長は語る。先の再整備もまた、そのためのものなのである。
(4・6〜11、横浜市民ギャラリー)
書道研究書人社(主幹梅原清山=作品写真右)による社中選抜恒例展。梅原氏はすでに日本芸術院賞を受賞しており、日展理事で、現代書道20人展には平成六年よりメンバーとして名を連ねている。読売書法会常任総務で、太玄会では運営委員・特別賞選考委員を務め、謙慎書道会の総務でもある。以上の経歴からも、この社中はいわば現書壇の正道を行くものといえよう。
出品作は概ね漢字の世界だけに、骨格の逞しい作品が多く、見応えも充分。しかし主幹はこの会を、あえて小学校と例える。ここから中学の太玄展、高校の読売書法展、そして大学の日展と、古典に立脚した指導方針のもと、会員はその技量の進捗と共に、発表の場を順次上げていくことになるからである。
三上彩風、室松一清、江原見山、伊藤紫香、小池鱗華らをはじめとする役員作は、すでに一家を成す如く、風格ある作調に良く足並みが出揃っている。他もまた同様で、壁面は緊迫感を保ちつつも、あたたかな情感が通い、爽やかな感触で墨調も実に豊かであった。
一つ書に限らずとも、芸術作品と呼ばれるものの全ての制作は、先ずはコンディションの調整であり、更には全力を集中する気合以外にはないのではないか。これからの更なる進展に期したい。
(4・12〜15、新宿・朝日生命ギャラリー)
第25回桂紅会書展
楢崎華祥氏が主宰する桂紅会の記念すべき第25回展。賛助出品に昨秋文化勲章を授章された、芸術院会員の杉岡華邨氏。
額、軸、帖、巻子などに加え、合作の四曲パネル「桜花遊行」や、利休屏風「四季」も展示。
パネルは蜷川清子、根来睦子、森本要子ら12名によるもの。各一点だけでも鑑賞に耐え、その上でなお、全体的な一つのハーモニーが奏でられ、モダンなセンスが光る会場の、良きアクセントとなって注目された。
楢崎氏は、自詠句かと見紛うほどに思いを溶け込ませた半切軸の「おもざしのほのかに灯籠流しけり」(=写真右側)と、格調を極める額装の扇面作「雲にまがふ花のしたにて眺めむれば朧に月は見ゆるなりけり」(=写真左上)で2点を出品。
社中の小字・細字における臨書にもある如く、中字、大字作にも古典を存分にこなして展開した作品が多く、長年の練成の上に成り立ち得る現代の息吹が、ボリューム感を添えて、見応えのある好会場を構成している。
(4・13〜17、有楽町朝日ギャラリー)
秋の東京都美術館での本展に対し、春季銀座展は、額は10号、軸は半切までと、手頃な鑑賞作品が出揃う。中には秋の大作への下絵的なものも散見されるが、大半はこのサイズを自由に謳歌しており、バラエティー豊かな展観に、先ずは好感が寄せられる。60名、65点の出品作の中から、一部ながら紹介したい。
加藤弥寿子理事長(=作品写真右上「ばら」)と、湯原良枝副理事長(=作品写真左「枇杷の花」)は、ともに俳画調の賛を入れた花の作品。前者は赤や黄色などの薔薇で、モダンな雰囲気が漂い、後者は切り取った琵琶の花を、しっとりとした筆致で描いている。
風景では白石有戔の、この冬に中国に取材した「雪の裏街(北京)」と、怜悧な光と陰影が印象的な土端羊石の「朝もや」(=作品写真右側)。ともにここからの大作展開に期待が繋がる。花鳥画では流石の技量を見せる藤崎千雲の「春」と、落ちついた筆裁きに真摯な努力の程を買いたい白子恵玉「うぐいす」を挙げておく。
他、着目されたものとしては畑佐祝融「林」、橋場棋樹「青磁と華」、原田紫峯「寂」、奥村牧鳳「山峡の滝」、渡辺芙美恵「象鼻山」、岡本光玉「月夜光」、中里典子「風景」、玉置勤「真鶴岬」、北村洋子「斜面に生きる」、江花青樹「春の三溪園」の各作等。
(4・20〜25、ギャラリー日比谷)
故・西川寧直門の集うこの会も、36回を数えるに至った。第一人者であった青山杉雨氏も、鬼籍に入って久しく、孫弟子の数も全体の約四分の一に迫ろうとしている。
しかし小林斗庵、淺見筧洞の両氏を筆頭に、数こそ48名と小規模であるものの、日本書壇を代表する顔ぶれを擁するだけに、完成度の高い、濃密な壁面が魅力的である。
ベースとなる銀座から築地に会場を移した一時期もあったが、それも僅か数年で、また銀座に舞い戻り、今年も西川寧、青山杉雨両師の遺墨を囲んでの開催となった。
小林斗庵「斗庵近業」は、当代隋一の存在として風格を成し、淺見筧洞「静慮」(=作品写真右上)は、長年の経験に基づく構築性が見事に活かされており、独特の造形を展開して、美しきコントラストを描く。その他、シャープな感覚が白と黒の世界を自在に操っていて奥が深い新井光風「朋儔」、強靱な線質を、穏やかなリズムで定着させる田中東竹「桃花谷」(=作品写真左上)等が印象に残る。
(4・23〜29、銀座/ロイヤルサロン)
激動の昭和が終焉を告げ、平成の世は長引く不況のもと、それでも表面上は平穏に過ぎて行き、すでに21世紀を迎えるに至った。去る者は日々に疎しとはいわれても、時代を代表する作品は、決して消え去るものでは無いであろう。その反面、新たに頭角を現すものも非常に多く、波の激しさは更に今後も続く。現代を生きる作家にすれば、本番は正にこれからということになる。
森田茂「宵月の富士」(=作品写真右上)を頂点として、梅津五郎「城」、楢崎重視「三人の踊り子」=文部科学大臣奨励賞(=作品写真左側)、竹留一夫「アンダルシアの農家」、安松千枝子「一隅」、飯泉俊夫「巫女(はにわ)」、和田貢「舞台裏のピエロたち」、磯崎俊光「望」などを中心に、幹部から新人に至るまで、重厚な作調に打って一丸となっており、強靱果敢な探究意欲に燃えている。
応募作品も今回は大幅に増えたとの由。時代を担う闘士の有力な集いとしても、常に注目を浴び続けて久しい。いわゆる日本洋画の新しい樹立に貢献するところも、すこぶる甚大とされる所以。
(4・23〜5・7、東京都美術館)
今年も会期を二分し、前期は公募及び会員、理事、後期を委員と理事として、約550点の展示。昨年より従来は役員室として使用していた特別展示室を常任理事、理事室とし、委員の第一展示室に正面を設けて、展観を一新。ロビーの大作と併せ、めりはりのきいた好会場を構成している。
正面にメイン作3点。松塚玲糸会長は西行山家集より「山ざくら…」他七首(=作品写真部分右上)を、初心に帰り、手中の細字でパネルにちらす。吉川美恵子副会長は「風交じり…」他二首(=作品写真左側)。シャープで流麗な潤渇の呼応で、万葉歌に現代の輝きを与える。新井蒼雨理事長「さくつぐや…」(=作品写真右下)は、静かな山里の春にイメージを増幅し、三行にロマンを秘める。
常任理事からは、ロビー大作の大嶋三峰「春たつと」他七首。紙の両面を使い、裏に藤原伊房の北山抄、表に和漢朗詠集の和歌を書いて話題を呼んだ。掲載はこれらに大庭松翠「鶯の…」と、河合保秀の「風交じり…」他二首で6点に絞らせていただいが、他の常任理事陣からも阿部朱鶴、木村翠園、中西柳邨、松井泰樹、森貴三子、安川了井らの各作等、幾多の割愛があったことを付記しておきたい。
(前期=4・26〜27、後期=4・28〜29、奈良県文化会館)
『県民のために奉仕するという前提に、私たちが最もよいと思う方法で創作し、互いに競争しつつ、美術文化向上発展のため努力しますと共に、県民大衆との間に同一生命的な共存性をさぐるため励みます。』
全国各県にそれぞれ県展があり、美術館も整備が成されている。すでに中央と地方の隔たりは、年々縮小されるばかりではなく、各地域毎の独自な開発によって、特色付けられる傾向が著しい。
この県展は諸条件において、まことに恵まれていると言っても良いであろう。港横浜が開花の先端を切ったのは、もちろん明治以降とはいえ、西欧文化の唯一の窓口であったからである。
県展と同時に、ジュニア海外交流作品の展示など、斬新な企画にも、常に積極果敢な国際性があり、質実共に他に比肩を許さぬ実績は、やはり流石と思われた。
主な受賞者は、県展大賞=垣見久子(=作品写真右上「ティランジア」)。県知事賞=末宗恵美子(=作品写真左上「旅の記憶・ローテンブルグ」)。里見賞=田村沃子(=作品写真右側「白花夢幻」)。県議会議長賞=京坂昭子。横浜市長賞=西尾鹿次郎。鎌倉市長賞=新保ゑ子(作品「モンマルトルの裏通り」)。藤沢市長賞=河越幸子。横浜市議会議長賞=美濃織江(作品「作品』)。横浜市教育委員会賞=森庸光。神奈川新聞社賞=丸山博孝。優秀賞=吉田愛子(作品「旅の足音」)ら6名。奨励賞6名。
(5・1〜7、横浜市民ギャラリー)
プロムナード
6月7日、関東地方にも梅雨入り宣言が成された。この号が出る頃には今年も早や半分を過ぎたことになる。まさしく月日の過ぎ行く速さは、光陰矢の如くである。
21世紀を迎えても、科学の進歩は昔の想像通りとはいかないが、携帯電話の普及の凄さには驚かされる。今では持っていないほうが少数派であるし、単なる電話以外の機能に関しても、その発達のスピードには、残念ながらついていけそうにない。iモードを使えば各種情報の引出しに加え、様々な予約や振込さえ出来る。この携帯端末ともいえるものを、如何にして活用するのか。先ずは研究からはじめねば。
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