美術鑑賞社 01(zero-one)ギャラリー
2000年12月10日


 

 第15回全国臨書模刻展

 心芸墨美作家協会(理事長酒井子遠)の主催による臨書と模刻の全国公募展。

 区切りとなる今展には、新世紀の幕開けに立ち、文字の歴史やその中に無限に広がる造形美の発見から、自らの考え、心眼・己の手でこれを追求し獲得することで、次代を担うゼネレ−ションに、創造力をもって新世紀を開拓してもらいたいとの願いが託される。

 出陳は約700点。甲骨からはじまり、漢字全般で各時代に及び、仮名も散見。臨書大賞には米丸浩貢、模刻大賞には阿部柳浦、準大賞には藤川梅舟、帯川夏翠、滝口照影がそれぞれ選出され(=写真右上、上位受賞者コーナー)、また酒井理事長の金文をはじめ、岩浅写心ら運営委員及び協賛委員の各作も見応え充分であった。

 壁面には一般に見ることの少ない甲骨も目立ち、加えて隷書、篆書も多い。これらを会場で一堂に見比べれば、漢字の基本は古い書体にあることを、改めて思い知ることができよう。意義高らかなる同展の、更なる発展を期待したい。

(10・18〜21、埼玉会館)

 


 

 西迫翠峰書作展

 西迫翠峰氏は昭和30年に宮本竹逕門に入り、同34年には日展に初入選(以降28回入選)。平成2年からは読売招待閨秀展のメンバーとなり、連続出陳を果たす女流書家の逸材である。

 ミレニアムの2000年は折しも古希と重なり、第3回となる個展は、これを記念しての開催となった。

 出品は書業45年にあわせて45点。古希の数にちなんで、大好きな富士を素材とした作品も7点交えた。

 日展や常務理事の寒玉書道会や日本かな書道会はもとより、読売書法展、日本書芸院展など、中央での活躍も著しい。だが思えばこれら大字や中字作品にも、その底流には壁面芸術たる強さの奥に、常に気品と人を包む優しさがあった。

 掲載とした一茶句“親の日とおもふばかりぞくさの花”(=写真右上)は、そんな氏の思いの全てを集約した一点と言えよう。これからは初心に返り、細字を見直すと共に、調和体にも取り組みたいと

のこと。人柄を偲ばせる各作に魅力は尽きない。

(10・24〜29、銀座鳩居堂4階画廊)

 


 

 第24回書壇巨匠展

 タイトル通り、現代の日本書壇を代表する巨匠47名を網羅しての書展。書道新聞社の主催だけに、一般新聞社の公募展や、他の社中展とは全く異なった主旨のもとに、第一線をリードする代表的な作品を、一堂に鑑賞することができる。

 この秋に文化勲章を受章された杉岡華邨氏の(=写真右上“朝鳥の来ればうれしき日和かな”)をはじめとし、関東では浅見錦龍、浅見筧洞、新井光風、稲村雲洞、岩井韻亭、梅原清山、大石隆子、大野篁軒、大平山涛、金子聴松、小林抱牛、鈴木景堂、鈴木桐華、種谷扇舟、戸田堤山、仲田光成、成瀬映山、関西では井茂圭洞、今井凌雪、榎倉香邨、尾崎邑鵬(写真左=“寄款”)、恩地春洋、黒野清宇、桑田三舟、小山素洞、高木聖鶴、日比野光鳳(=写真右“月のみにかゝる雲ありしばしほど”)、古谷蒼韻、甫田鵄川、宮本竹逕の各氏など。

 特に東西の作家の競演とも言える顔合わせは、鑑賞者を喜ばせる好企画となっている。

 出品作は全てモダンな体裁のミニサイズ。これもまた現代壁面芸術への、一つの答えといえるだろう。

(10・31〜11・5、銀座鳩居堂3階画廊)

 


 

 瀬下妙子個展 - 内なる世界。-

 画家の半生を傍らで寡黙に見つめてきた固い木地の小さな椅子。氏はこのモティーフとの心の対話に3年をかけ、自らの内に安らぎの場を与えた。それはまた激動の世を生き抜いた、20世紀の掉尾を飾る自身への一つの結論付けであり、かつ未来へとつながる確固たる決意なのでもある。

 従って今回作品は時系列に展示され、会場全体がその思いを具現化する。“タイムトンネル”が先ずその導入部。そして椅子は後に陸続する“クロス&青のテーマ”(=写真右上)の連作において、表出する形彩と、深きブルーへの沈潜過程を経て、作家の心奥へと順次溶け込んでいく。内なる世界は第三章で、ついに完結を見たのだ。

 しかしこれは決別ではない。限りない愛情に同化されたこの椅子は、またそのうち、ひょっこりと姿を現すことだろう。尽きぬ泉の如き作家の創作意欲は、一所には留まらない。暖色が踊る“未知への予感”(=写真左上)に新たな希望が湧いてくる。

(11・13〜18、銀座サエグサ画廊2階)

 


 

 書展太陽

 故・金田心象ゆかりの心象舎(理事長村井虹城)による恒例展。17名の精鋭が断固たる意思力のもとに足並みを揃え、弾力性を備えた造形意識を核として、鍛え抜いてきた書線の成す現代展開を、静淵な雰囲気の内に粛々と披瀝している。

 主なところでは村井虹城“不動聲色”(=写真左側)及び中山秋水“心象先生詩”(=写真右下)をはじめとし、半切の赤沼清蘭“鼓童”、大村聖苑“暁望”、小宮草沙“高勁”、野原聖逸“匪石”、簀河原最恵“言泉”等に、鈴木南枝、福村澄泉、杉田章峰、花岡沙苑、佐々木沙雁の各作など。日々の錬成を一作に託しての力闘が何より清々しい。

 特別出品の金田心象“如ゼ”(=写真右上)もまた、歳月を越えた感動を余情を含みながら伝え、終生変わることの無かった開拓精神と意欲の持続が、絶大なる遺産であることを告げている。師の残した偉大な金字塔を胸に、決して留まることなく、歩み続けてもらいたい。

 なお会場の一角では出品者の門下31名による、書の教室選抜展も併催された。

(11・18〜23、銀座書廊)

   


  

 プロムナード

 私はビール党である。とはいえ家での晩酌はもっぱら発泡酒を愛飲している。

 毎晩、ロング缶2本と、その後は水割りか焼酎のお湯割り3杯くらい。毎年6月に受診している杉並区の成人検診では、少し酒量を控えて週に2回は休肝日をといつも注意されるが、なかなかそうも行かない。相変わらず酒税だけは人一倍払っている。

 そんな発泡酒に増税論が出たが、大蔵省のもくろみは見事に否定された。開発に莫大な努力をかけたビール会社はもちろん、庶民の懐にも直接影響する。当然のこととはいえ、黙ってはいられない。【藤谷弥道】

 


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