美術鑑賞社 インターネットギャラリー
1999年11月10日


 

 第9回悠画会展

 墨田区の後援を得て広い会場を確保し、プロ・アマ相集う悠画会の第9回展。

 賛助出品の井坂保三、事務局を預かる石島堅次、及び秋谷正春、猿見田正義、米本秀雄らを中核に、21名が大作を含めて全35点を出品。

 自由な新天地の開拓と相まって、独自な創作活動の展開に余念がない。むろん絵画が主体だが、写真や彫刻もあり、他の分野にも門戸を広く開いて、なお新たな参加者を募っている。

 諸々の可能性を含む原野か鉱脈の印象も強い。多忙な日常のなか、展覧会に出品するということは、各個人にとって確かに大変なことであろう。しかしこれを越え続けることが作家としての生活である以上、進んで積極参加する者にのみ勝利が約束されるのも、当然とされる筈である。

 ともあれ、悠画会は大変まとまりの良い会に相違ない。或いはこれが長所ともなれば、短所ともなりかねないが、現在のところ概ね好調が持続されている。

(9・19〜24、墨田リバ−サイドホ−ル)

 


 

 第37回抱一書展

 昭和36年12月、先師・山崎大抱により創立され、発足当時は5人展としてスタートしたこの会も、第37回を迎えるに至った。

 出品は全58名。掲載とした理事長柿下木冠“土”(=写真左)、大石千世“鎖”(=写真右)における濃淡を駆使しての重厚な対比をはじめ、渾身の大作で会員奨励賞を獲得した三枝緑雨“黎”(=写真右下)、さる五月の抱一企画において精力的な個展を成功させて波に乗る時政荘子、松永一貫の二名、そして国井久美子、土屋弘鳳、村松太子等々。

 純一に徹するという伝統的指針のもと全力でぶつかり、体得したもののみで構成されている作品群からは、変わらぬ情熱と気力の充実が常にハイレベルな状態で伝わり、流石の迫力に、厳しい修練の集約を見る思いがした。

 各々がベースをつきつめてこその線の生動であり、個々の競演が相乗効果となって壁面を盛り上げる。その点で単なる社中展とは明らかな一線が画されよう。更なる躍進を期したい。

(10・4〜10、銀座ア−トホ−ル)

   


 

 第7回舞鳳会書展

 回瀾書道会会長の水野精一氏が主宰する、舞鳳会の第7回展。専ら仮名の世界ではあるが漢字作も散見され、清新で洗練度を増した作品により、水準の向上も年々鮮やかなものになっている。これは不断の錬成の賜物として、当然の収穫に違いないであろう。

 水野会長は“啓蟄やひとはをはらぬ冬をもつ”(=写真左)及び“落葉ふむやザンザバラバラ氣のみだれ”の自詠二句と“花”の小品で3点。門下では松吉久美子、三浦真澄、伊藤泰子、祖父江礼子らが、全紙を含めた各2〜3点に良き健闘を成している。出品は全25名と少数ながら、その探究意欲は旺盛であり、他にも自作の印との絶妙な調和から、着目された佳品が実に多かった。

 一応ここまでの成果を獲得すれば、次はこれを如何に深めるかが決め手となろう。作品は常に発展段階の一駒に相違はないが、志向する目標の高さによって、その努力や方法も異なってくるからに他ならない。

(10・4〜10、銀座・東京ロイヤル美術館)

 


 

 99'独立秋季書展

 昭和27年に創立した独立書人団の恒例となる秋季書展は、準会員1,839名、会友640名から選抜された、独立の将来を担う新進作家の展覧会である。

 出陳点数は準会員127点、会友50点。今回は会友への枠を少し広げ、応募数に対する入選率も12%と上げた為、準会員枠はその分減り、約三分の二が落選するという厳選となった。

 極めて厳格な実力が問われる登竜門的な存在の書展だけに、展観もまた漢字、仮名、多字数、少字数、近代詩文書の各部門に、形式上の墨の濃淡や、臨書、創作といった形態を含め実に多彩。準会員賞となった忽那勉“杜甫詩”、村瀬桂芭“臨 本阿弥切”(=写真右上 部分)、会員推挙の簡恵美“面”蓮沼泰子“彫”毛利悠映“歩”(=写真左)らの各作をはじめ、真剣勝負にかける意気込みが若い感性に一層の磨きをかけ、緊張感を高めた快作が他にも多く見受けられた。

 また本展並みにとの配慮から、今年度より準特選を新設。会友の青木喜一郎ら3名が初の栄に輝いた。

(10・7〜12、新宿・朝日生命ギャラリー)

 


 

 第44回集美書道展

 謙慎書道会常任理事で書象会副理事長を務める伊藤枕石氏が主宰する集美会の第44回展。

 99年に因んで選抜99人展とし、一連の会員作と共に、掲載の“澹如”(=写真右)をはじめとする主宰出品4点の内には、九成宮醴泉銘の全臨に北魏の味を加えた氏ならではの楷書作(180×90cm)も添えられた。

 くしくも九尽くしとなった今展に際し「古くから中国では九は数の多いこと、おりかさなることとし、聖教とされています。よって研究の積みかさねの好機と考えています」と、伊藤氏は図録巻頭で述べている。

 出品の99名は公平に、全て先着順で選出された。申込み初日で一杯となり締め切ったとのことだが、これも意欲の現れであろう。作品は半切三分の一幅の、いわゆる書象サイズに、概ね統一されているが、各々自由で伸びやかな作調に好感が寄せられた。互いの厚き信頼と結束することの強さを年ごとに提示して、期待を持たせる会のひとつである。

(10・14〜18、桜木町ぴおシティー3階・ゴールデンギャラリー)

 


 

 プロムナード

 NTTの定額接続サービスは、どうやら月額8,000円でスタートしそうだが、まだまだ高すぎる。ここ暫くはテレホーダイを利用しての現状が続きそうだ。

 すでにご存じとは思うが夜11時から翌朝8時まで使い放題で月額2,400円。通信と共に、当然アナログの電話にも使えるが、こんな時間帯に長電話する相手など、残念ながらもういない。これでは折角の権利を半分放棄しているのと同じだが、致し方あるまい。

 最近は専ら早朝をネットの時間にあてている。もちろん一発でつながるし、スピードも速く、とても快適な環境だ。やはり何時の時代でも、早起きは三文の得ということか。

【藤谷弥道】

 


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