美術鑑賞社 インターネットギャラリー
1999年8月10日


 

 第60回記念大日本書芸院展

 昨年の11月27日、創立者阿部翠竹理事長が逝去され第60回記念展は、遺作4点を囲んでの開催となった。享年96歳。先ずは心からご冥福をお祈りしたい。

 社団法人大日本書芸院は正しい「書の伝統」を継承するに、書道芸術に関する研究を怠らず、あわせて書道芸術の普及振興を図り、もって社会文化の向上、発展、並びに海外との交流に寄与することを目的とし、国内及び台湾、中国からの公募作品による国際文化交流にも34年の実績を持つ。

 出品者総数は3021名(点)を数え、その中から漢字、かな、前衛、調和体等、1581名(点)作品が陳列された会場は、正に壮観の一言。昨年12月に就任した阿部竹翠理事長のもと、各自が精一杯の技と力を尽くし、新しい時代の幕開けを鮮やかに彩っている。独自な開発に賭けてきた歳月がひとつの世界を熟成し、そこに展開される作品には現代を彷彿とさせるものも多く、今後の動向を示唆しているようで興味深い。

(6・24〜29、東京都美術館) 

 → Monthly Gallery 第60回記念大日本書芸院展

 


 

 第55回南門選抜書作展

 日本書道学院の創立者、大西南堂ゆかりの一門による恒例の選抜展。出品は池谷華道理事長をはじめとする中枢メンバーで全59名。

 半切三分の一ないし四分の一といった規定サイズを主に、武内枝雪“江碧鳥逾白…”、宝力白洋“智者大愚”、大西昭堂“無法”、犬塚紫溪“春眠不覚暁…”など、漢字の多字、少字数作がバランス良く並び、近年の懸案を見事に克服。足並みの良く揃った好壁面が展開されている。

 現代書である以上、造形的に視る書として独立は必然であり、そのためには最も重要な線質の鍛練と、専らその組み立ての問題とされているが、長い伝統上の書の在り方と大きく異なるのは、やはり手法の刷新でなければならない。従って書かれた文字の形や単なる格好だけでは済まされないのも、また当然といえよう。他にも小山司雲“かしましい”、

野浦玉舟“宙”等。小品とはいえ、各々の造形意識が随所に閃きを見せており、見応えがあった。

(6・25〜30、銀座書廊)

 → 日本書道学院ホームページへ

   


 

 第43回東方書道展

 名誉同人に鈴木桐華(=作品写真左“連”)、谷村憙齋、津田翠岱、中平南谿。本年度審査員に小林孤秋、楢崎華祥、野口白汀、藤木正次、林蕉園ら61名。運営委員には赤平泰処、木本壽美江、林竹聲らと顔ぶれが実に多彩であり、広い会場を埋める作品群も格別なバラエティーさを誇る。

 出品は同人、準同人、及び公募第一部(漢字)、第二部(かな)、第三部(少字数)で全1748点。

 淡墨少字の世界に早くから切り込んできたこの会だけに、躍動的な大字にはスケールがあり、おおらかで逞しい作品が多い。もちろん伝統技術の高度な消化による、漢字の本格的なものが主流であろうが、東方イズムの一番良いところは、情感豊かな仮名を含め、一党一派に偏することなく、また類型もなく、それぞれが全く個々に、独自性の開発に余念のないところであろう。荒木大樹、柏木南城、粕谷鮮影、杉浦華桂、鈴木響泉、柳碧蘚ら次代を担う層の厚みも抜群である。

(7・1〜6、東京都美術館)

 


 

 第38回書象展

 「古典に立脚して新しい書の追求を行っていく」との先師・上條信山の遺志を継ぐ書象会(理事長田中節山=作品写真左端)の第38回展。

 新宿センタービル51階の展示フロアーを全て使用し市澤静山(=作品写真左より2枚目)、内藤望山(=同・左より3枚目)、伊藤枕石(=同・右端)、鷹谷月影ら幹部の古典臨書32点を含め、半折三分の一幅に統一された軸装作1302点が整然と並ぶ様は、いつもながらたいしたものだと思う。わずか1〜4パーセント程の厳選を経た各受賞作はもとより、全体を通じた高水準でのまとまりに、この会の力量のほどが再認されよう。

 書道は規範芸術ともいわれ、古典に参入しつつ、更に現代的な展開に当たっては、それぞれに個々の作家が一作毎に、オリジナルな探究成果を力一杯表現しなければならない。とすればいたずらに奇をてらい、効果のみを急いではならないであろう。地道な世界であればあるほど、精進また精進のみに、明け暮れざるを得ないのである。今後の長き忍耐と持続を祈り、ひたすらなる健闘に期したい。

(7・2〜5、新宿センタービル51F・朝日生命ギャラリー)

  


 

 第70回斯華会書道展

 斯華会は明治23年、小野鵞堂により創立。以降、成鵞、成幸、之鵞と継承され現在は小野之右氏が五代目の会長を務めている。

 今回は創立110周年と第70回という節目を迎え、相談役古怒田鵞心、顧問江口爽節、田村幸萠、運営委員坂上洋成、多田游硯ら13名をはじめとする全115名が、歴代会長の遺墨を囲み、より強固な団結力をもって、新たな闘志を静かに燃え立たせている。

 一口でいう110年は簡単だが、年輪にはそれなりの曲折が伴う。しかしこれを乗り越えて来た活力の蓄積をバネとして、新しい時代を切り開く可能性もまた、大といえよう。確固たるベースを基盤に、来るべき21世紀へと、これを如何に発展させていくかが、すでに大正時代より漢字と仮名をまじえた実用書の内に、芸術性を提唱し実践してきた鵞堂流直系の使命といえるだろう。持ち前の明るさ、和やかさを失うことなく、現代書の確立へ向け、果敢な前進を続けられたい。

(7・9〜13、銀座松坂屋別館5階カトレヤサロン)

 


 

 プロムナード

 期待していたNTTの定額料金は、月額一万円とのこと。通話料で比較すれば昼間で50時間、タイムプラスなら85時間がペイラインとなる。

 これでは余程のヘビーユーザー以外に意味は無く、一般のネット利用者には無縁の制度といえる。

 米国の20ドル/月とまでは言わないが、せめて五千円位には出来ないものか。ジェイコム東京のケーブルインターネットなら接続料金込みで六千五百円/月の定額。残念ながら小社の地域はまだサービスエリア外だが、いずれは入るだろう。これなら使える。

【藤谷弥道】

 


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