美術鑑賞社 インターネットギャラリー
1999年7月10日


 

 第46回日府展

 日本画、洋画、彫塑、工芸の総合団体として、各部の均衡を持続する、社団法人日本画府(理事長児玉三鈴=作品左「翔」)の第46回展。

 芸術の完成は、先ず人間完成を第一義とし、国民芸術を真に樹立するための、自由かつ明朗な運営にも着目される。

 日本のアンデパンダンを目指し、昭和31年に同志相寄って創立されたこの会の果たすべき役割には、これからもなお、大なるものがあるといえよう。鶴田熙(=作品右「甲斐駒残照」)、樋渡涓二、渡辺六郎、池田道康、吉永正ら幹部陣の充実はもとより、次代を担う精鋭達の健やかな成長は何より心強い。

 団体運営面における手腕の程が、新しい時代と共に今後ますます変わってゆかねばならない筈の今日である。これを果敢に乗り切るためにも、個々の和が決定的とされ、その意味からでも、日府展の不断の前進体制には、新天地開拓の意欲に燃えるエスプリの充満と躍動に、改めて大きな期待が掛かってくる。その責任と名誉のためにも、一層の自覚を祈ってやまない。

(5・8〜19、東京都美術館)

 


 

 第25回結城天童生々会展

 この二月初旬に東京国際美術館で、その画業を総括する『画の道70年』の大規模な個展が開催された結城天童氏の主宰する生々会。昭和49年の創立より25周年を迎え、今回はこれを記念して図録も発刊された。

 出品は結城会長が、かつて師・川端龍子より拝領した金屏風に二年越しで描いた大作“竹林彩華”六曲半双と、掲載とした“春のいのち”六号(=写真右)。結城巧、及び門下の17名がこれに続き概ね二点ずつで全34点。

主なところでは有路ふさ江“紅と白”、高見澤柳佳“長春冨貴”、星信子“ツタンカーメンの豌豆”の花や静物、また風景では板垣青仁“萌”、上田孝峰“はる”、平本史子“ファーガネスにて”等。創立会員として、そのキャリアに相応しく顔料を見事に駆使し、熱意の探究から手応えのある快作を揃えている。他、会員からは石綿光夫、清水靖子、永田英司、伊藤秀雄、福尾登茂子らが良き健闘を成しており注目された。

(5・13〜16、川崎市中小企業婦人会館)

  


 

 第45回光荘会書道展

 光荘会は初代会長岡田光荘に連なる女流の殿堂。永らく使用してきた東京美術倶楽部の建て替えに伴い、上野に二会場を構えた一時期もあったが、落成の後は会期も薫風の五月に戻り、ここに一つの区切りとなる第45回展を迎えた。

 和室の二階会場には、情感のうちに意思力を貫徹させる浅田春荘会長の屏風作“吉野川”や、桜尽くしの五句に風趣を凝らす磯部容光“桜”、土佐日記を素材に手練の味をみせる平尾泉荘“男もすなる”の両副会長作をはじめ27点。荒井青荘、今村春嶺、田川桂洋、直井光鵞、夏秋桂邨らの屏風作も、内庭をのぞむ純日本風の会場に、良きアクセントを添えている。

 3・4階展示室と併せ、出品は師範、同人、一般に学生部を併せ全533点。女流のみの一門として、比肩する会は他に無いであろう。組織建っての安定性も抜群で、一糸乱れぬ整然さがあり、会場全体の雰囲気も和やかで実に清々しい。

(5・15〜16、東京美術倶楽部)

 


 

 第65回記念旺玄展

野老山作太郎 「城市」

勝俣 睦 「芽ぶく頃」

斎藤寅彦 「時の跡'99」

 記念展企画として第5室に物故作家の遺作が特別陳列された。創立盟主の牧野虎堆の50号2点をはじめ、高野真美、酒井嘉久、杉浦勝人、市川加久一、小林猶治郎、梅野順三、そして一昨、昨年に亡くなった玉之内満雄、清原馬目と並ぷとこの会の歴史が思い返されてくる。

 日本画、版画もあるが、主流の洋画作品から数点。野老山作太郎は近景から遠景まで眺望のきく景を明るく堅国に描写。勝俣睦はやわらかな色調と独特の筆触で山の芽ぶきの頃の表情をとらえ情感を生んだ。斎藤寅彦はリアルな眼差しと描写で今日の一隅を切りとってみせた。片岡美男は古代へのロマンを今日的風景の中で謳いあげ、池田均は油彩による山水画の趣きがある。小玉政美の現代都市の人間像は心の風化性をよく訴求していよう。【美術評論家 中野中】

(5・21〜30、東京都美術館)

マ旺玄会ホームページへ(主な作品21点を掲載しております)

 


 

 第32回白鳳書展

 二宮珠鳳氏が主宰する白鳳書道研究会の恒例展。同会は昭和41年、県立相模高校の書道部を中心とした書道研究グループにより創立され、一昨年の第30回展を機に、毎回テーマを設けての発表を続けている。

 本年度は『鳥』に関わる言葉や句を素材に、大作から小型の屏風調に仕立てた折帖の小品まで、85名のバラエティー豊かな作品が並べられた。出品は漢字各体に仮名、近代詩文書など。無論錬度により差はまちまちだが、伸びやかな作調には好感が寄せられる。

 主宰は地元にちなんだ相模の万葉歌“足柄の筥根飛び越え…”を、漢字仮名まじりの素朴な雰囲気で現代展開。濃淡を駆使した他2点とあわせ、素材を吟味してのイメージ増幅は流石と思われた。加えては二宮翠江、石井玲甫、岩本麗翠、工藤麗翠、野村小鳳らの各作も、テーマに基づく成立の必然に迫って印象深い。

(5・26〜30、茅ヶ崎市民文化会館)

 


 

 第44回全国神融会書展

 故・炭山南木ゆかりのオーソドックスな漢字の会だが、昨年、会長炭山楠峰(=作品写真左)、副会長堀田南郷(=作品写真右)、津村龍堂(=作品写真中)と新体制を整えてより、会には刷新の気風が、より顕著に感じられる。幹部陣はもとより、中堅にも若手が台頭し、相互の精進から成果を一段と上げている。

 会員一同、師風を尊重しながらも独自なものへの追求と、古典に立脚した研鑽等、年に一度の展覧会は当然かくあるべきであろう。出品は二×八尺、三×六尺を主体に約五百点。殊に審査員を対象とした南木賞の各作には、伝統に裏打ちされた重厚さに加え、余白と線質の切れに美しい響きを持つものが増えている。

 和やかな会員同志間の信頼感と共に、制作一途な態度に情熱がうかがえ、新体制にもかなりの安定感が出てきている。無論これは会長を中心とする幹部陣の、運営手腕の賜物に相違ないであろう。関西漢字の一角を担っての存分な健闘に、更に大きく期待したい。

(6・1〜6、大阪市立美術館)

 


 プロムナード

 6月22日、郵政省の『次世代ネットワーク構想に関する懇談会』は、インターネットの普及を促進するため、2000年迄に通信料金の定額性実現などを盛り込んだ報告書をまとめた。

 NTTもまた、七月の再編を機に通信料金の値下げを検討しており、インターネット接続向けに定額料金性を年内にも導入する計画とのこと。日本のネット利用者1,600万人には何よりの朗報だが、気になるのはその料金だ。米国は月20ドル程度。日本もこれ位なら万々歳なのだが。

【藤谷弥道】

 


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