美術鑑賞社 インターネットギャラリー
1998年10月10日


 

 第42回 凌雲書展

 神奈川に拠点を置く凌雲社(会長城所湖舟)による県下22地区から全405点を結集しての第42回展。

 年に一度の本展といえば書に限らずとも、充分な壁面の確保には、常に頭を悩ませられるところだ。メッカの東京都美術館でさえ、メインストリートを除けば二段や三段掛けは当たり前となっている。その点で市民ギャラリーの三階全室を使用するこの社中は、恵まれた存在といえるだろう。

 今回は二×八尺までとした同人作を最長部の壁面に集約し、他の一角には仮名の部屋を設けて配置した結果、実にすっきりした展観となった。また準同人及び会員には同人を上回る高さ2m50cm、聯落2枚幅というスペースが与えられており、次代を担う新鋭に全力的な体当たりの場を提供している。伸びやかな作調から着目されるものが多く、この環境は是非とも維持していってもらいたい。同人は字数が少なめとなるが、より密度を凝縮している。

(8・19〜25、横浜市民ギャラリー)


 

 同巧選抜書展

 十鳥霊石氏が会長を務める同巧会の、選抜メンバー50名による書展。実作主義の研究集団として、その姿勢は質実たる精進に一貫されており、古典に裏付けられた堅牢なシステムもさることながら、不断の努力と忍耐が滞ることなく全層に渡って浸透し、会場は清新の気に満ちている。今回はそんな中から秋葉佳堂氏の“李賀の詩”(=写真右)をピックアップしたい。要より放射状に広がる八行には、確かな芯の存在がうかがえ、扇面料紙における作品成立の必然性というものが思われた。

 一朝一夕では決して身につかぬ進歩も、長い年月を費やす鍛練によって、初めて形となる。そしてその形は次の時代へ様々に、より多彩な方法をもって伝えられていく。二十一世紀の書は、当然二十世紀がその土台でなければならないであろう。新時代へ向け、二十世紀を総括する表現方法の確立に、今こそ急ぎ取り掛かる時期に来ていると思われる。無論不変なのは、たゆまぬ努力に他ならない。

(8・21〜26、東急日本橋店六階美術画廊)


 

 第22回
  全日本書会展

 作品本位の開かれた書展を標榜する全日本書会(会長岩田紅洋)の第22回展。幹部、役員を含めた第一科が二×八尺、三×六尺等で228点。これに半切の第二科97点が加わり、総展示数は325点(学生部を除く)。専ら行草の漢字が主体だが仮名なども散見。

 鋭意なる資質の発掘、育成。これこそは公募展の不変の使命とされる。作品本位とはどの団体でも聞かれる言葉だが、規模の拡大に伴う他の力関係等の要素が絡み、審査の実情は建前に止まる場合も多い。その点純粋な理念を貫き続けるこの会は、正に貴重な存在といえる。今回、全日本書会大賞に輝いた原田悟は初出品とのこと。なみいる評議員を通り越しての受賞となった。また常任理事では今井翠泉、佐武照聲、吉田凌雲らが、自らの領域を果敢に拡大させるべく、新たな持ち味への挑戦を成し注目された。これら作家意識の高揚にこそ、ことの真価はかかってくるからである。

(8・21〜25、埼玉会館)


 

第27回 慶山会書道展

 恒例の第27回展の開催にあたり、会長續木湖山氏は「会員一同『自分の感性』に合った古典を追求し、創作への足掛かりを求めて継続努力し、篆・隷・楷・行・草・かな・漢字かな交じりなど各書体へと挑戦して参りました」と挨拶。自らも潤渇の呼応も清冽な“虎嘯風生”(=写真左)や、井伏鱒二の言葉、漱石句などの全紙から小品にいたる六点に、長老にしてなお軒昂たる書境を余さず披瀝している。

 佐藤秀湖吉田成堂中平松鶴寺本秋峰長野竹軒らが手堅き作調でその脇を固め、二尺正方の吉田佳石“虚無恬淡”(=写真右)、全紙二枚の臼井南風“千峯拓窗”(=写真中)における筆勢も強く印象に残るところ。出品会員の91名が探究の成果を出し合い、それぞれに独自な工夫を凝らした展観は、和やかな雰囲気とも相まって、爽やかさも一入。個性的な作品も増えてきており、それがバラエティーとなって一段と効果を上げている。

(8・28〜9・1、銀座松坂屋別館5階カトレヤサロン)


 

 第25回 銀川会書展

 主宰原秀子氏のもとに歩み始めた仮名の銀川会も、今般記念すべき第25回を迎えた。一つの区切りとはいえ特別にテーマを設けることもない。自らの糧として純粋に書そのものを楽しんでおり、素朴な展観ながら作品と作者の一体感に、四半世紀の年輪の確かな結実がうかがえる。

 全37名による出品作は専ら仮名の手頃な鑑賞作品が主体。素材も表現も各々の好みに任されている。今回は作品を前に、自作の句ですかとの問いかけも多かった由。それだけ作者と素材の融和が成し得たということであろう。掲載とさせていただいた原満子“風の音は山のまぼろしちんちろりん”(写真左)の他にも、内海裕子、大石葆子、次山タヅ子、東田知子、和地由里子らが、作者の面影を偲ばせる佳品を揃えており注目された。とにかく慣れて、消化することに主眼をおいての日々だったとのことだが、狙いは大いに当たっている。

(9・8〜13、銀座鳩居堂第二画廊)


 

 プロムナード

 世間ではWINDOWS全盛といわれているが、やはり私はMAC派である。

 インターネットを含め、一般的な個人やオフィスユースに関しては、前者のほうがソフトウェアも豊富であり、ハードの選択肢も広く価格も安い。しかし出版やデザイン、即ちDTPの分野となると、俄然後者に軍配があがる。インターネットの世界から、いずれはこれを統合したDTPへとの構想のもとに早三年余。新たなステップを見据え、小社もいよいよ次世代機G3の導入に踏み切ることとなった。CPUの処理速度は飛躍的に上がり、システム環境も十分に整った。あとはこれを如何に駆使していくかのみ。

【藤谷弥道】


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